一緒 ページ42
次の日の朝。
手をグーパーグーパーして
｢よしっ｣と気合を入れると、ダダン一家のキッチンに立つ。
マキノさんに教えてもらったお肉料理を沢山作って皆にこの数日間のお返しをするために。
それで、隠し事してたこと謝って、それで…。
考えながら手を動かしていると、後ろから重みがかかった。
｢うわっ｣
｢わりィ！驚かしちまったか？｣
横を見ると寝起きであろうサボが後ろから私の腰に手を回して｢何してんだ？｣と覗き込んでくる。
｢あ、あの近いし危ないから離れて…｣と照れながら言うと
｢ん？あー…もうちょっと｣
と更にぎゅっとする力を強めてくる。
サボに触れられている部分から熱が広がる。
二人とも無言のまま数秒、私の太鼓のようにうるさい鼓動が彼に聞こえないか心配だ。
｢うし、満足｣
と開放されると、無意識に止めていた息をやっと吸えた。
｢お、おはよ｣
照れているのを悟られないように料理を再開しながら声をかける。
｢おはよ｣
チラッと後ろをむくと、サボはにこにこ顔でこっちを見つめている。
｢…｣
｢…｣
カチャカチャと、私が手を動かす音だけが響くと、何だか気が気でならない。
何か声をかけようか迷っていると
｢俺、やっぱA達と一緒にいたい｣
ふいにそう放たれる。
一週間くらいだったけど、離れてる時もAとルフィが心配で仕方なかったと話す。
｢うん、私も｣
正直離れている間、毎晩二人の身を案じていた。たった少しの期間なのにすごく久しぶりに思えるくらいその生活は長く感じた。
お皿に盛り付ける手を止めて、
｢よし、完成｣と振り向けば、サボが近づいてきて私の手を握った。
｢いっぱい頑張ってくれてたんだな｣
まだ傷跡が少し残る手を彼はゆっくりと摩る。
少しくすぐったくて、でも心地よい時間。
ずっとこういうなんでもない日々が続けばいいなぁ。
と思っていたら、ぱっと彼は後ろに視線を移し、作った唐揚げを見ると一口つまみ食いをした。
｢あ、つまみ食い！｣
｢ん！うま！｣
もー！と彼の胸元を軽く叩くと、
悪い悪い、皿並べるの手伝うから許してくれなんて言ってた。
終わり
ログインすれば
この作者の新作が読める(完全無料)
←心配
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 676人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Keiko03090407(プロフ) - 続き気になる(っ ॑꒳ ॑c)ﾜｸﾜｸ (2022年11月3日 1時) (
レス) @page42 id: 0dc3919b36 (このIDを非表示/違反報告)
ベーコン?(プロフ) - この作品めちゃくちゃ好きです…！！続きめっちゃ気になります！！ (2022年8月18日 13時) (レス) id: 45dc28a220 (このIDを非表示/違反報告)
お猫 - 好きすぎるぅ！ (2022年8月18日 12時) (レス) @page42 id: 34150a8be7 (このIDを非表示/違反報告)
air(プロフ) - あくもんさん» とても嬉しいコメントありがとうございます…！あくもん様の応援に応えられるように頑張りますね…！ψ(。。) (2022年8月13日 18時) (レス) id: 3c653399f3 (このIDを非表示/違反報告)
あくもん(プロフ) - この作品めっちゃ好きです！続きが気になる………！！無理しないでこれからも更新頑張ってください！楽しみに待ってます！！ (2022年8月12日 23時) (レス) @page41 id: cfb31e7c1d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：air | 作成日時：2022年7月14日 20時
