凄惨 ページ31
「じゃあ、私はここの本屋で用事済ませておくから」
「ほんとにいいのか〜?らーめん、Aも食べなくて」
「う、うん。
朝に食べたご飯でお腹いっぱいで」
ごめんね、とルフィに話し分かれる私たち。
海賊とて中心街で騒ぎを起こすことはしないだろうということでここでは単独行動を許された。
今のうちに調べないと…!
…
はっきり言って、史実に書かれていることは凄惨なものであった。
天竜人は世界を創成し、最も誇り高く気高き血族だとか何とか大半は良い者のように書かれていたが、古本屋の一角。
端っこの本当に隅の方に、ボロボロの本があり惹かれて手に取ってみると、これまで天竜人が行ってきた事件の一部が載っていた。
"目の前を横切ると銃で撃たれる"
"彼らは同族以外を人間だと思っていない"
"彼らに手を出したものは国家レベルで危機に陥る可能性がある"
…読んでいられなかった。
耐えきれず本を閉じると店主が近づいてくる。
「…お嬢ちゃん、世界貴族に興味があるのかい」
「えっと…最近新聞でこの街に来るって書いてあったので」
少しお茶を濁すような発言をしつつも、店主の反応を伺う。
「そうかい…彼らには関わらない方がいい
あれは悪魔だ」
「悪魔?」
「ワシの孫が昔…彼らの従僕として連れていかれた。解放され帰ってきた孫は次の日…自分で命を…」
何があったのかはわからない。
ワシらには知る権利さえ与えられていない。
ただ、どの新聞会社が世界貴族を讃えようと、事件をもみ消そうとて本当のことを伝える本を売りたかったのじゃ。
とその本を撫でる店主。
「惨い話をしてすまんな」
「あ…いえ」
何も言えなかった。
私が何も知らずにマリージョアでのうのうと生きている時に、そんな凄惨なことが行われていたなんて。
もしかしたら、私の母様や父上も…と考えたら汗が止まらなかった。
「やっぱり、憎いですか」
「…そうじゃなぁ。自分の手で復讐したいと思うよ」
冗談交じりに、そんなことしたらゴア王国も終わるな。と言っているが目が笑っていない。
怖かった。天竜人の行いを知ってから他人の憎悪の念に触れるのは。
やはり、私は…生きていては
そこまで考えると
「逃げるぞ!A!」
と三人が本屋に入ってくる。
心底ホッとした。
中心街から逃げ帰る道中、
「サボ?サボじゃないか!」
と呼び止める綺麗な服を着た男に、サボは神妙な顔をして立ち止まるが、すぐに振り返り逃げることを促した。
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Keiko03090407(プロフ) - 続き気になる(っ ॑꒳ ॑c)ワクワク (2022年11月3日 1時) (レス) @page42 id: 0dc3919b36 (このIDを非表示/違反報告)
ベーコン?(プロフ) - この作品めちゃくちゃ好きです…!!続きめっちゃ気になります!! (2022年8月18日 13時) (レス) id: 45dc28a220 (このIDを非表示/違反報告)
お猫 - 好きすぎるぅ! (2022年8月18日 12時) (レス) @page42 id: 34150a8be7 (このIDを非表示/違反報告)
air(プロフ) - あくもんさん» とても嬉しいコメントありがとうございます…!あくもん様の応援に応えられるように頑張りますね…!ψ(。。) (2022年8月13日 18時) (レス) id: 3c653399f3 (このIDを非表示/違反報告)
あくもん(プロフ) - この作品めっちゃ好きです!続きが気になる………!!無理しないでこれからも更新頑張ってください!楽しみに待ってます!! (2022年8月12日 23時) (レス) @page41 id: cfb31e7c1d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:air | 作成日時:2022年7月14日 20時