境遇 ページ8
山賊の皆が寝静まった頃、私は二階から外を眺めてボーッとしていた。
まだ実感が湧かない。自分の話をしても優しくしてくれる人がいることに。
｢ここにいていい。好きなだけいろ｣そう言ってくれたダダンさんは、山賊という肩書きには似合わない優しい顔をしていた。
｢お前…｣
エースがいきなり話しかけてくる。先程まで何も言わずこちらの様子を伺うくらいだったのに、
やはり何かが気に食わなかったのだろうか。
｢お前、天竜人ってのはそんなに恨まれてるのか｣
｢…そうみたい、皆その話をすると顔色変えて殴ったりしてくるの｣
変な話してごめんね、と付け足す。この話をしてからのエースはどこか奇妙だ。
｢俺の…俺の父親は海賊王だって言ったら。お前は笑うか？｣
｢海賊王って、ゴールドロジャー？｣
｢…あぁ｣
そっか、そうなんだ。その話を聞き今までのエースの行動に合点がいく。
昔父親達が海賊が云々という話を聞いたくらいで他に覚えはない。ただ天竜人にとってはかなり都合の悪い人物だったみたいだ。
率直な感想を話すと…
｢笑えない、かな｣
私の話に耳を傾けていたエースはその言葉を聞くなり肩を落とす。
｢お前もやっぱり―｣
｢ち、違うの変な意味じゃなくて…親近感とかそういうの｣
｢しんきんかん…？｣
「同じだなって、思って」
｢同じじゃねェ。俺は泣かねェし、強ェ｣
｢境遇が、ね｣
私は…世界貴族で
エースは海賊王、お互いその子供ってだけでなにかしら影響を受けてる。
ゴールドロジャーについてはよく知らないけど、きっとその大きすぎる名前に押しつぶされそうになるのは…わかるから。
｢だから笑えない｣
これが私の素直な感想かな。とエースの目を見据えて話す。
｢…そっか｣
エースが笑う。
「俺も同じだ」
初めて見た彼の笑顔に、すこし胸が高鳴った。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
｢だから笑えない｣
そう言った彼女の目を見て俺は心底…安心した。
この世界で俺は一人だと思っていた。
この気持ちはずっと誰にもわからない、と高を括っていた。
自分に関わるなと言ったAに感じた同族嫌悪のようなものはとうに無くなっていた。
それと同時に 守りてェ、と強く思った。
この部屋に初めてやってきた時の震えを今でも覚えている。
その辛さは…俺にもよくわかるから。
胸から溢れるこの気持ちをまだ、
エースは知らない。
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Keiko03090407(プロフ) - 続き気になる(っ ॑꒳ ॑c)ﾜｸﾜｸ (2022年11月3日 1時) (
レス) @page42 id: 0dc3919b36 (このIDを非表示/違反報告)
ベーコン?(プロフ) - この作品めちゃくちゃ好きです…！！続きめっちゃ気になります！！ (2022年8月18日 13時) (レス) id: 45dc28a220 (このIDを非表示/違反報告)
お猫 - 好きすぎるぅ！ (2022年8月18日 12時) (レス) @page42 id: 34150a8be7 (このIDを非表示/違反報告)
air(プロフ) - あくもんさん» とても嬉しいコメントありがとうございます…！あくもん様の応援に応えられるように頑張りますね…！ψ(。。) (2022年8月13日 18時) (レス) id: 3c653399f3 (このIDを非表示/違反報告)
あくもん(プロフ) - この作品めっちゃ好きです！続きが気になる………！！無理しないでこれからも更新頑張ってください！楽しみに待ってます！！ (2022年8月12日 23時) (レス) @page41 id: cfb31e7c1d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：air | 作成日時：2022年7月14日 20時
