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新しい朝 ページ4

朝、ガチャガチャと騒がしい音に目が覚める。
音はこの部屋の下からのようだ。
昨日…そっか、あのおじさんに連れてこられた家。
見たところ山の中にある。家主の風貌を見るに一般の家ではないのだろう。
Aは昨夜のことを思い出しながらも目を擦るとガープが手当してくれた包帯が目に入った。

(…)

「元天竜人だ、殺しても海軍は動かねェ」

どこから話が伝わったのか、私が天竜人だったという話が出回ってからの日々は地獄だった。

痛い
辛い
苦しい

今までの鬱憤を晴らすかのように、知らない誰かは私を痛めつける。
今思えば、殺されずに済んだだけマシだったのか。
逃げては捕まり傷が増えていく、そんな毎日に嫌になり全てを諦めようとしていた。

「やめんか、幼い子供をこんなにしおって」

そこに通りがかったのがガープだった。

「ゲッ、ガープさん…」
「何があったか知らんが、子供に暴力を奮っていい理由などない」
「でも、そいつは…」

昔天竜人だったから、と
怒りに満ちた人々が口走る前にガープは私を小脇に抱え

「いいから解散せえ。今なら連行せずに許してやる」

と言い放った。
有無を言わさない雰囲気の彼に楯突くものなどおらず、人々はA達の前から去った。

「…あの」

「とりあえずその痛々しい傷を治療じゃ」

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

ガチャン、と一際大きい音に私の意識は現在へ戻る。
音を立てずに階段を降りていくと、わさわさと男たちが肉を取り合う光景が広がった。

「あ、お前」

黒髪の少年が私に気づいたようだ。

「早く食わねーと無くなるぞ」

この肉のことだろうか?
…食べて、いいのだろうか?

(天上金のせいで国が飢餓で滅んだって)

前に…言われたな。お前らのせいでって、

そう言えばこっちに来てからまともにご飯食べてないな。
お腹に手を当てると答えるかのようにぐぅ、と音が鳴った。

「…ほらよ」

その様子を見兼ねたのか黒髪の少年は皿に乗った肉をAに手渡す。

「手に取ったんだからそれはお前のもんだ。
…細ェんだから、食えよ。」

目の前にある大きな肉の塊を前に、私はなおも迷っていると

「お前の飯取り上げたりするやつはいねェから」

黒髪の少年は真顔でそう言った。
肉を取り合っていた周りの男たちもそんな彼らの話に耳を傾けていた。

(食べていいんだ)
叩かれも殴られもしない、ご飯の時間。

しょっぱい→←親近感



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Keiko03090407(プロフ) - 続き気になる(っ ॑꒳ ॑c)ワクワク (2022年11月3日 1時) (レス) @page42 id: 0dc3919b36 (このIDを非表示/違反報告)
ベーコン?(プロフ) - この作品めちゃくちゃ好きです…!!続きめっちゃ気になります!! (2022年8月18日 13時) (レス) id: 45dc28a220 (このIDを非表示/違反報告)
お猫 - 好きすぎるぅ! (2022年8月18日 12時) (レス) @page42 id: 34150a8be7 (このIDを非表示/違反報告)
air(プロフ) - あくもんさん» とても嬉しいコメントありがとうございます…!あくもん様の応援に応えられるように頑張りますね…!ψ(。。) (2022年8月13日 18時) (レス) id: 3c653399f3 (このIDを非表示/違反報告)
あくもん(プロフ) - この作品めっちゃ好きです!続きが気になる………!!無理しないでこれからも更新頑張ってください!楽しみに待ってます!! (2022年8月12日 23時) (レス) @page41 id: cfb31e7c1d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:air | 作成日時:2022年7月14日 20時

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