【ワンピース】二度恋をする【盃兄弟】

大怪我 ページ22

「いい？A…
人はね、誰にでも秘密があるの」

母様が、笑う。
見える私の手はまだ小さい。

「それを簡単に話したり、面白おかしく広めたりしてはダメよ」

そうだよね、母様。
秘密は守らないといけないよね。

「話した人が、どうしてあなたには教えたのか。ちゃんと考えてから行動するのよ。」

うん、わかった。母様。
でも私…ひとつ、聞きたいことが───

*

「A〜〜〜〜...」

ん...ルフィの声がする。
泣いてる？
そうだ、海賊に殴られて怪我をしてて...

「ルフィ...！」

勢いよく身体を起こすと頭痛がした。
頭を触ると包帯と手当の跡がある。
状況を整理しようと記憶を辿ると、ルフィが飛びついてきた。

「A〜〜！！！！」

「ルフィ...！無事だったんだ、よかった...！
痛いところない？ 大丈夫？」

包帯でぐるぐる巻きの頭に手を当て髪を梳きながら聞くと彼の涙がポタリポタリと服に落ちる。

「平気だ...痛てェし死ぬかと思ったけど、
Aが死ぬかもしれない方が怖かった」

しっかりと私の背中に手を回し、存在を確かめるようにぎゅっと抱きしめてくるルフィは泣き止まない。
それに、大怪我をしているのに私の心配をしてくれている。

「ルフィ...ごめんね、怖い思いさせて」

「悪いのは俺の方だ。次は絶対負けないしお前を守ってやる」

守ってやる。そう言われたのは初めてだった。
ここにきて何回もエースとサボに助けられたけど、人にこうも想われるととても心が温かくなる。
嬉しい気持ちをできるだけ言葉に乗せて、泣いている彼をぎゅっと抱き返し、あやす様に頭を撫でる。

「ありがとう...ルフィ」

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