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好きな人。 ページ21

「ゆっくりしていきなさい」

お爺さんに招き入れられ、畳作りのカフェに入る。

店員さんは見る限り全員浴衣姿。
外から見た通りの、お洒落な雰囲気だ。


「雨、夕方までに止みそうにないな」
スマホの天気予報の画面を眺めながら彼が溜息を着いた。

『駅までタクシーでも呼ぼうか』

「ん…なら送ってくよ」

運ばれてきた熱々の珈琲に口をつける。
ほのかに桜の香りがする珍しい珈琲らしく、周りのお客さん達も同じカップの珈琲を飲んでいた。

『え、大丈夫だよ』

こんな雨の中人を送るなんて大変だ。

「俺が送りたいから」

『でも』

「格好付けさせてよ、気にしないで」

“Aが今どこに住んでるのか知りたいし”


ね、決定__と、顔を柔らかく綻ばせた。

『…ありがとう』

美味しいクッキーを口に運ぶ。

ほろほろと甘い生地が口に広がり、自然と口角が上がる。

「美味しい?」

『うん、美味しい』

暖かい時間が早々と流れていく。
彼といると、時間が直ぐに流れてしまう気がした。

「Aさ…」

『うん』

「彼氏とか、できた?」

彼氏??


突然の質問に声を上げそうになる。

『す……好きな人はいる、けど』


「んー、カメラ関係の人?」

淡々と聞いてくる彼にはきっと、素敵な相手がいるんだろう。

少し寂しい気もするけど、今私の前にいるのは彼なのだから。

正直に話すべきだよね……?


『カメラ関係といえば……そう、なのかな、』


ころちゃんとはカメラで繋がったし……。

「…そう」


『こ、ころちゃんは?』

久しぶりに口にするその渾名。

「……いると思う?」

いてもおかしくないと思う……

目の前にいる君はお洒落だし、格好良いし……

好きだと気づいてからは、もっと彼が遠い存在に思えるほどだから。


『どうだろう、いても可笑しくないと思うけど、?』

頷いて欲しくない気持ちを振り切って笑顔でそう訊く。

カップを口にあてていた彼が少し真面目な顔になって、伊達眼鏡を外した。


綺麗な鼻筋がよく見えて、その姿にもまた見惚れてしまう。





「…ありがと、僕はね……………」



彼が眼鏡をトレーに置いた。

コトリ、と軽い音が弾き出される。



ひとつの瞬きが落とされた後、彼は再び口を開いた。

変化→←花色のハンカチ



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リトマス紙青 - きれいな恋模様が描かれていて、読んでいてほんとにドキドキさせてもらいました。更新、お待ちしております。 (2020年3月11日 6時) (レス) id: 2753c7faef (このIDを非表示/違反報告)
リト@歌い手色の占ツク民達(プロフ) - とても素敵な作品ですね。思わず見入っていました。更新、まっていますね。 (2020年3月11日 2時) (レス) id: 411bfd759c (このIDを非表示/違反報告)
りぃず(プロフ) - あずきさん» ありがとうございます。最後までやりきれるように頑張ります……! (2018年12月18日 18時) (レス) id: 7803f93653 (このIDを非表示/違反報告)
あずき - 更新楽しみにしてます! (2018年12月18日 15時) (レス) id: e832122126 (このIDを非表示/違反報告)
りぃず(プロフ) - ろっとさん» コメントありがとうございます!頑張りますッ (2018年12月17日 17時) (レス) id: 7803f93653 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:りぃず | 作成日時:2018年11月5日 22時

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