甘味所【甘露寺蜜璃】 (ページ4)

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4話ページ4

婚約者が出来てから、お姉ちゃんは
私と遊ぶ事が出来なくなった

主に花嫁修業をしていた
良家に嫁ぐのだから恥のないように

お母さんの言葉に忠実に
お姉ちゃんは2年後には立派な女性となっていた

「お姉ちゃん……18になったら
　結婚しちゃうの？」

『ええ、でもこれでも遅らせて貰って
　いるのよ？
　ありがたい事だわ』

「………何だっけ……松ぼっくりみたいな
　名前の……」

すると、優しく叩かれた

『こら、姉の婚約者を松ぼっくりとは
　なんですか
　松簿理(まつぼり)様よ、お名前ぐらい
　覚えなさいな』

「………お姉ちゃんの事奪うんだもの」

『……蜜璃……』

すると、お姉ちゃんは後ろから抱きしめて来た

『貴方は自慢の妹よ、だってこんなにも
　姉思いで……私は幸せ物ね
　とても良い婚約者にも恵まれた……
　……離れてしまうのは寂しいけれど、
　私のめでたい事だから、蜜璃には
　祝ってほしいな』

知っている、お姉ちゃんはとても我慢している人だという事
私の姉だから、一部では変な噂も流れていて、
その上才色兼備だからと学校でも嫌がらせを
受けていたのに

………私のせいなのに

そっとお姉ちゃんの着物の袖を濡らしてしまった

『……それにね、私
　………段々と会っている内に……
　松簿理様のこと……好きになってしまったの』

照れながら言うお姉ちゃんは
恋をする少女だった

私はまだ1度も会ったことはない
でも……お姉ちゃんを大切にしてくれる人なら

「私………お姉ちゃんの幸せを
　願うよ」

『蜜璃………ありがとう』

幸せそうに笑うお姉ちゃん

けれど、そんなお姉ちゃんを

たった一人の大切な私のお姉ちゃんを

私は壊してしまった

ー2年後

「えっと……今日は結婚前の家族の
　顔合わせになるんだよね？」

『ええ！蜜璃が松簿理様に会うのは
　初めてになるのよね
　あまり緊張しちゃ駄目よ？
　さて、しっかりおめかししなきゃね！』

お姉ちゃんの選んでくれた着物に袖を通して
おめかしをしていく

お姉ちゃんが主役なのに何だか申し訳ない

　

そうして、相手よりも早く着いた私は
顔合わせにはまだ時間があるという事で
少し庭園を散歩する事に

『あまり長くしちゃ駄目よ？』

「大丈夫！お姉ちゃんも一緒に行かない？」

『……うーん、私は……出来るだけ
　早く松簿理様に会いたいから…』

そんなお姉ちゃんは顔が真っ赤だった