甘味所【甘露寺蜜璃】 (ページ13)

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13話ページ13

炭治郎side

まずは忠久さんの個室に向かう
Aさんはまだ目を覚ましていないだろうからな

「忠久久さん、失礼します」

個室に入ると、忠久さんは目を覚ましていた

「目が覚めたんですか、良かった！」

「胡蝶さんから聞きました、
　Aを助けてくれて本当に
　ありがとうございます」

「いえいえ！」

ベッドの傍らにある椅子に座る

「それで、早速なんですが……
　Aさんの事について……」

「あぁ、妻が何か？」

「………記憶が戻ったんです」

忠久さんは驚いて、手を叩く
　

「では！蜜璃ちゃんの事も思い出したんです
　か！？」

　

「えっ！……甘露寺さんとAさんの事
　知ってたんですか！？」

「ええ、初めて蜜璃ちゃんを見た時に
　何だかあの二人が似ていて、
　蜜璃ちゃんに尋ねたことがあったんです」

夫の感というものなのか……

「……ただ、Aさんが甘露寺さんの事を
　……その…拒絶……していて…」

すると、訝しげな表情になった

「はて……おかしいな
　……俺の感だと、Aは蜜璃ちゃんと
　仲が良いのかと…」

「え？」

「……結婚してから数日の頃、Aが
　桜餅を大量に用意した事があったんです
　どうしたのかと聞けば…」

《え………良く食べるから用意……
　あれ………桜餅を良く食べる人なんて
　いたかしら？》

「それで、蜜璃ちゃんが桜餅を良く食べる
　姿を見て、きっと記憶を無くしても
　大切に思っていたからなんだと……
　違うんでしょうか？」

俺と同じ事を思う人が他にも居たなんて

そこで決心した

直接Aさんに話を聞くべきだと

それから数日、Aさんも目が覚めて
体調も大分良くなったと聞き、
俺はAさんの個室を訪れた

「お久しぶりです、Aさん」

『炭治郎君……』

かすかに感じるのは憎しみ

それは俺に対して、そしてもっと大勢の誰かに

『胡蝶さんから話を聞いたの
　鬼殺隊？………なんて恐ろしい………
　親方様とか言ったかしら？
　その人に会わせて頂戴』

その時、俺の中で確信が生まれる

この人はちゃんと【お姉さん】だと

「………貴方は、鬼殺隊が許せない程
　……甘露寺さんが大切なんですよね？」
　

その時、戸惑いの匂いがした

『……………そうね、許せないわ
　貴方達も……蜜璃も………
　私自身もね』