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26話 ページ31

「………良かったんですか?」

しのぶ様のは私の傍らに座って悲しげに視線を落とす


『良いんです、無一郎にはこれ以上
 弱さを見せたくない
 きっと幻滅されちゃうから…』

「時透さんはそんなお方ではありませんよ」



『………………優しい人ですもんね…』


私は多分起き上がることはもう難しいだろう
薬で隠してはいるが

腕の肘まで
脚のふくらはぎまで
所々頬も
ヒビの入った肺

硬化はとても進んでいた

『私が死んだら、遠くに嫁いだとでも
 言っておいてください』

「………私は、貴方の意志を尊重します」

『ありがとうございます、しのぶ様
 何から何まで……全部貴方のお世話に
 なってしまいました』

「私は……姉さんは……カナヲは……
 この屋敷の皆は……Aが
 大好きなんですよ」

『はい、私もです』



私は、硬まる頬のせいで上手く笑えなかっただろう


指ももう動かせない


あの熱の日みたいに、私が無一郎を撫でる事なんてもう出来なくなってしまった
もう一度、女顔負けのあのきれいな髪に触れたかったなぁ





私は人を支えることができただろうか
私はこの世に何か残せただろうか
私がこの世に生まれる意味はあったのだろうか

少し考えてみたけれど、私はあったんじゃないかなぁと思ってしまった



だって、無一郎が教えてくれたんだ


私は生まれて良かった









――もう後悔も心残りも無い








きっとね

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花みたいに(プロフ) - 名無しになりたいさん» 本当です!直しておきました!本当にありがとうございます! (2019年12月1日 23時) (レス) id: 248b61614a (このIDを非表示/違反報告)
名無しになりたい - 1話の【超屋敷】は【蝶屋敷】の誤りでは…?素敵な小説でした。 (2019年12月1日 17時) (レス) id: af163a7b99 (このIDを非表示/違反報告)
花みたいに(プロフ) - ありがとうございます! (2019年11月25日 6時) (レス) id: 248b61614a (このIDを非表示/違反報告)
真冬 - すっごく素敵な作品でした。 (2019年11月24日 19時) (レス) id: eb4bf42b53 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:花みたいに | 作成日時:2019年10月29日 5時

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