強く生きようよ【時透無一郎】

23話 ページ28

私はしのぶ様に言われた通り、自分の部屋で休む事にした
一応怪我と言い伝えた無一郎には新しい医者をつけて勿論休むように言ってある
しのぶ様は多数の隊士を連れて今捜索中だ


この任務が終われば私は無一郎とお別れ

少し寂しいけれど、あの人からはたくさんのものを貰いました
きっと私は大丈夫ですね



すると1階から騒音が聞こえる
まさか鬼！？

………と言うわけでも無さそうで
人の声がする

一応ここは旅館、隊士であろうと謹んで貰わなくては困る
旅館の浴衣に羽織を着て下へ降りた


途端に私は心臓が飛び出るかと思いましたよ


『む、無一郎！？
　何をしていらっしゃるんですか！？』

玄関では無一郎と、外に出ようとする彼を止めようとする医者が

『貴方はしのぶ様から休む様に言われ
　ましたよね！？』

「………関係ない」

その表情は最初の頃の無一郎を思い出させるようで、私は何故か冷や汗をかいています

『怪我をしているんですよ！？
　もし鬼と対面したりでもしたら………
　死んでしまうかもしれないんですよ！！？』

「死ぬ事は怖くない
　それよりも一刻も早く鬼を斬る
　それが僕の役目だよ
　君は口出ししないで」

まるで突き放すように

『いいえ、出させてもらいます
　それではただ死にに行くも同然
　貴方のするべきことでは無い』

「死んだとしても斬りにいく」

この人はまるで………
死にたいとでも言っているように

「僕は生きる事に何も思わないから
　だからこそ鬼を斬るしかないんだよ」


私は拳を握りしめて霞柱様を床に押し倒す

『見てください、私にも貴方を押し倒せまし
　た、あなたの事だから自分の状況も
　理解しているんですよね？
　
　……………それはただの死にたがりです……
　正義感でも、仕事熱心とも違う
　ただの自己犠牲です！！！』

霞柱様は少し驚いている
　

『貴方が仕事に大きな思いを持つのも、
　責任感を持つのも結構！！
　けれど、死ぬのを分かって立ち向かう！？
　それは貴方のわがままにしか過ぎません！
　違う、違うでしょう！！
　貴方のするべき事はそんな事じゃない！
　命を犠牲にすることじゃない！！
　
　貴方は強い！力がある！
　ちゃんと準備を整えていれば
　貴方は生きて勝てるじゃありませんか！
　ここで死ぬべき人じゃない！まだ護る
　ものも、学ぶ事も、見つける事も
　沢山あるじゃないですか！！』


私はこの人に死んで欲しくない

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