桜が5輪 ページ6
沖田「おいブス」
沖田「おせーよブスが」
沖田「雌犬ブス、おら
媚びてみろよ」
貴「………………お主は何故度々
ここに来るんじゃ……」
私は笑みを浮かべてはいるものの
筋を立ててしまっているだろう
ピキピキと音がする
あれからというもの
沖田さんは朝にでも店の外から声をかけてきたり
夜になると、私を指名してはけなす
ほとんど毎日
沖田「んだよ、金払ってんだから
さっさと酌しろよ
オメー仕事だろぃ?
このブスが」
貴「……この前は綺麗だと言ってくれたのに
わっちは悲しいでありんす」
沖田「チッ」
不機嫌そうに舌打ちをした
全く、この人は仕事をしているのだろうか
というか、何がしたいんだろう
沖田「おい、ブス」
貴「……………」
沖田「ブス」
貴「……………」
私がそっぽ向いていると、ぐいっと頭を掴まれて顔を合わせられる
貴「痛たたた!!!」
沖田「オメーがこっちに向かねえからだ」
貴「わっちはブスという名前じゃ
ありんせん!」
沖田「じゃあ何て呼べばいいんだよ!!」
貴「だから、鈴音と……!」
沖田「オメーの名前じゃねーだろーが!!!」
いっきに怒鳴られて怯んでしまう
貴「……え…?」
沖田「オメーにも、母親から貰った
名前ぐらいあるだろ」
母から………貰った名前
どうして…………
どうしてこの男は
こうも………
貴「どうして………お主はわっちに
踏み込んでくるんじゃ………
どうして………こうも………
望んでいた言葉を………」
沖田「この沖田様をナメんじゃねえ
おら、さっさと言え」
貴「か…………、……
かぐ………神夜」
沖田さんは満足そうに笑い
涙と化粧でぐしゃぐしゃになった顔を
綺麗だと言ってくれた
沖田「綺麗でい、神夜」
貴「バカじゃ…………お主はバカじゃ………」
沖田「おい、言葉も直せ」
貴「わっちはお主に心を開いたわけじゃ
ありんせん!!!!!」
客だというのに、怒鳴って出ていってしまった
あんな素性もしれない男に
私の本性を
本当の私を暴かれるのは悔しかった
でも、嬉しかった
貴「バカなのは私……………
じゃな」
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作者名:花みたいに | 作成日時:2019年5月18日 16時