信じていたいから。【文スト】

池野家へ。 ページ37

貴方side



池野「今までよく頑張ったわね。」



何も話していない僕にそう声をかける。

彼女は、母親が死んだ原因を知っていたのだろうか？

池野「ここらで少し、休みましょうか」



そういうと、池野、と書かれた表札の家へ入れてくれる。

目の前から、小さな女の子が掛けてきた。



？「わぁ、お客さん！？」

池野「あら、舞ちゃん。

早く寝なさいな、明日また会えるんだから」


そう柔らかく池野さんが言うと、舞ちゃんは残念そうに部屋に戻っていった。

舞ちゃん、それが池野さんの孫の名前。


____________幸せそう、何て。



池野「さぁさぁ、そこの椅子にお掛けになって。

そうねぇ、綾音と私の関係が一番気になっているかしら？」


父と母は同い年で40代だ。
池野さんはパッと見た感じ、60は行っている。

孫もいることから、関係は教え子などではないだろうか。



そう、予想を立てながら頷くと池野さんは笑った。


池野「流石は森鴎外の娘ね、考えが面白いわ」


......へぇ、読心術の異能力か。

となると、教師ではなくカウンセラーか何かだろうか。


池野「惜しいわね、元産婦人科よ」


あぁ、そういうこと。

『じゃあ、母親の“産後鬱”についても？』

池野「ええ、勿論。」



何処か申し訳なさそうに、池野さんは話し出した。



池野「まず最初に、綾音を助けられなかったことを謝るわ。

本当にごめんなさい。」

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