だから、渡辺は好きじゃなかった。【青】 (ページ17)

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＊どこまでもデキる。ページ17

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" Aー！おっはー！朝だよー！朝、朝、朝だよー！

Aー！おっは…… "

そういえばアラーム変えてないや。

少しだけ酔いが残る体を奮い立たせながら、頭の中は呑気にぼーっと。

でも、取引先の方と初めて接する時は

これくらいのテンションがいい。

そう、これまでの私の経験が言っている。

合ってるかは別として。

だがしかし、だ。

問題はここからだった。

" 車両点検のため、須野線は現在上下線ともに運転を見合わせています。 "

「はぁ？！」

テレビをつければやけにハッキリとした口調で伝えられていた電車の運転情報。

須野線って、まさに今日使わないといけない電車。

バッと走っていって、フローリングに放り出されていたスマホを耳にする。

数回のコール音の後、はい、と低めの声が聞こえた。

「あ、わ、渡辺！」

渡辺『声でっか。』

「電車止まってるって。どうしよう、遅れちゃう。」

もうすでに情報を得ているのか、電話の向こうの渡辺に

慌てる気配は見られない。

それどころか

渡辺『おまえならどうするの。』

「 …え？」

逆に質問をぶん投げられた。

渡辺『手段は電車だけ？』

「えっと…電車がダメならバス？」

渡辺『さっきバス停すごい並んでたよ。』

「 …じ、じゃあ……タクシーとか車、とか。」

実現可能そうな交通手段を並べてみると

少しの沈黙の後でんとだけ聞こえた返事。

「んって、」

私はどうすれば？渡辺は今どこなの？

そう聞こうとした心を全て見透かしているかのように

渡辺の声が続いた。

渡辺『下に車止めてるから。なるはやで。』

……これは現実なのか。

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