だから、渡辺は好きじゃなかった。【青】 (ページ16)

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＊渡辺のこと。ページ16

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佐久間「で？そっからどうしたのー？」

「なんでそんな笑うの？」

佐久間「だっておもしろいんだもん。やっぱりAの前だと翔太も変わるわ。」

「そう？相変わらず冷たいんだか優しいんだかわかんないけど。」

目の前で焼き鳥を頬張る佐久間がもう一杯！とグラスを掲げた。

深澤「おまえ飲みすぎだよ。」

佐久間「えー？まだ序の口っしょ。ふっかもAももう終わり？」

例の阿部さんのところへの出張を明日に控えた夜。

渡辺にも声はかけたのだけれど、まだやることあるからって断られてしまった。

佐久間「でー？続き続き！」

「え？あ、あぁ…。
そこからは渡辺の妹さんの話とかお母さんの話とか。」

佐久間「会話彼女じゃん(笑) 」

深澤「佐久間。」

佐久間「あっ、ごめん。」

勢いあまって発してしまった佐久間を見る深澤の目は真剣で。

「別にいいのに。」

そう呟いて、グラスに残っていたビールを飲み干した私に

今度は2人の視線が向けられる。

だって過去の話だし。

渡辺と渡辺が付き合いそうで付き合わなかったことなんて

もう、私の中では笑い話だもの。

送ってくぞ！と半強制的に深澤に連れられた佐久間と

3人で私の最寄り駅まで歩く間

もう全部教えてよっていう私のワガママに

2人は躊躇しながらも応えてくれた。

渡辺がイケナベになったのは突然だったこと。

それは、私との噂が終わって、他の女性との噂が流れ始めた頃だったこと。

その女性とは結構長いこと上手くいっていたということ。

春を感じる風が気持ち良かった。

そんな風を感じながら

やっぱり渡辺が好きじゃない、好きになっちゃいけないって

思い直していた。

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