*きっと伝わらないけれど ページ21
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”誰に?”
「 わっ! 」
背後から突然聞こえたその声に驚きすぎて、しりもちをついてしまった。
「 あたー…。 」
そうでなくても私は腰が弱いのに。
ぎっくり腰にでもなったら責任取ってくれますか。
いやでも、こんなことでぎっくり腰になる方が恥ずかしいか…。
後ろも振り向けず、思わず俯いてしまった私の頭の上から
びっくりしすぎでしょ、と呆れたような声が降ってくる。
…あれ?この声って。
渡辺「 立てますか。 」
「 わ、渡辺さん?! 」
渡辺「 だから、びっくりしすぎ。 」
差し伸べられた手。
戸惑いながらもそっと握ると、思いの外強い力で引き上げられた。
「 どうしてここに? 」
渡辺「 来ちゃだめ? 」
「 いえ!そんなことは! 」
照くんと並んでいるところをよく見るからか
9人の中では華奢なタイプだと思っていたけど、意外と力あるんだなぁ。
渡辺さんの新しい一面を知れた気がして、それが何だか嬉しくて。
渡辺「 何で笑ってるの。 」
「 お気になさらず。 」
渡辺「 え、怖…。 」
まさかのド直球な言葉を返されて えー! という顔で隣を見ると
渡辺「 Aっておもしろいね。 」
くしゃっとした渡辺さんの笑顔が、私を迎えてくれた。
「 …って。 」
ちょっと待ってください…?
今、
「 Aって言いました? 」
ふと、時が止まる。
スローモーションのように渡辺さんが口を動かす。
渡辺「 言ってない。 」
ですよね、あはは…と私はそっと視線を逸らした。
そんな私を見て、渡辺さんが何て思ったかなんてこれっぽっちも考えず
例え幻聴だったとしても
例え彼女がいたとしても
渡辺さんの笑顔がやっぱり好きだ、と複雑な気持ちを抱きながら。
「 あの、クッキーの件すみませんでした。 」
渡辺「 クッキー?めちゃくちゃ美味かったけど。 」
「 え? 」
渡辺「 サンキューな。 」
きっと今日は私も渡辺さんも、どこか変なんだ。
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愛莉(プロフ) - ゆずさん» リクエストありがとうございました!個人的に好きな2人組が書けるので、私もわくわくしています(*^^*)色々なドキドキをお届けしたいと思っているので、ぜひ楽しんでください:-)*。 (2021年3月6日 15時) (レス) id: ada343b87b (このIDを非表示/違反報告)
ゆず(プロフ) - 既にドキドキと楽しみが混ざって大興奮です(´;ω;`)素敵な作品を本当にありがとうございます!(´;ω;`) (2021年3月5日 8時) (レス) id: df851e8847 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:愛莉 | 作成日時:2021年3月4日 23時