shp&ci/Trick and Treat(OSTER project) ページ33
深く濃い霧の中、妖艶に響く二つの声。深い森の奥から聞こえる。
その声は少女を誘うには丁度良かった。
少女は誘われるまま、急足でその声の近くまで歩く。
刹那、甘い匂いが鼻を通り過ぎた。頭がくらくらするほど甘く、酔ってしまいそうな匂い。少女は瞼を閉じた。
いや、閉じたのではなく目隠しをされたのだ。朦朧とする意識の中、手を引かれる感覚を覚えた。
「足元ご注意。俺が手を引きますからついて来てくださいね」
「大丈夫、すぐに暖かい場所に着くから」
二つの声が少女の脳内を支配する。初めて聞くような声なのにどこか懐かしく、狂気的だった。
どれくらい眠っただろうか。甘い夢から覚めた少女は天蓋を見つめる。ゆっくりと体を起こすと、そこには幼い頃に愛していた人形たち。
その影に思わず身の毛がよだつ。
「おやおや、悪い子やねぇ。もう起きたんですか？」
「目隠しも取れたんや。そんなら盲目にしようかぁ？」
少女の首筋に冷や汗が伝う。
幼い頃に買ってもらった二つの可愛らしい人形。次の年には華やかなドレスを着た女の子の人形。遊び飽きた二つの男の子の人形を捨て、その存在も忘れて今も新しい人形を大切にしている。
その報復だろうか。
ねえ、ちょうだい？
光の灯らない作り物の眼球が少女を締め付ける。
人形たちはにっこりと優しく笑顔を作り、震える少女の手を取る。
「どうしたんすか。そんな目で体を震わせて」
「暖かいミルクでもてなして欲しいんでしょ」
「まあでもこの際、そんなん関係ないやろ。ほらご主人、見返りさっさとくださいよ」
「すぐに出せるやろ。ポケットの中身くらい」
人形が少女の胸元を指差す。
少女は更に震え出し、目に涙を溜めた。少女の小さな口から声が漏れる。
「『嫌』？大丈夫やって。痛いことはせえへん。ちょっとばかし眠ってもらうだけやで」
「せやから早よちょうだい。よこせよ、今すぐにさぁ。ほらあくしろよ」
笑顔で迫る人形たち。カタカタ笑い、彼女の暖かい心臓に手を伸ばした。
少女は夢の森を今日も彷徨っている。
＿＿＿＿＿
唐突に思いつきました。
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色樹 - リクエストおねがいします!!!zmさんでデーモンロード(kanaria様)ってよろしいでしょうか?kanaria様の曲パロがあってすごく嬉しかったです! (8月5日 21時) (
レス) @page50 id: 09f29be611 (このIDを非表示/違反報告)
色樹 - すごく面白かったです!!!最高だぁ〜!!! (8月5日 21時) (レス) @page34 id: 09f29be611 (このIDを非表示/違反報告)
aoi(プロフ) - あさぎさん» 確認してみたら間違ってました…ご指摘ありがとうございます。ご期待に添えられる作品か不安ですが頑張っていきます。コメントありがとうございました！ (2022年12月10日 9時) (レス) id: b86c248f05 (このIDを非表示/違反報告)
あさぎ(プロフ) - 口を出して悪いのですがsyudouさん…です！どのストーリーもすごく惹かれてサクサク読んでしまっています…続編の更新も頑張ってください´`* (2022年12月10日 2時) (レス) @page22 id: b0a8eb169e (このIDを非表示/違反報告)
aoi(プロフ) - 豆くんダヨ★さん» ありがとうございます！キャラ出すの苦手すぎて不安でしたが…満足していただき何よりです。 (2022年12月5日 7時) (レス) id: b86c248f05 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：aoi | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/airio08191/
作成日時：2022年11月15日 17時
