story 69 ページ26
島「…ひッ!」
俺が此奴の前まで躍り出ると、此奴は尻もちを着いたまま、後退りした。
「…ンだよ。そんなに怯えるこったァねェだろ。
第一、俺と手前は上司と部下の関係じゃねェか」
俺がそう云うと此奴の顔に少し安堵の顔になった。
「だがよ…
手前は少々俺達を遊び過ぎた。それのおかげで俺達は既に限界寸前まで来てンだよ。
これの意味が分かるかァ、『裏切者』。
手前等のような下等組織がポートマフィアに喧嘩を挑む時点で間違ってンだよ!
唯、それでも食い下がらねェなら俺が一人で相手になってやる。喧嘩は好きな方なん「中也」…ンだよ糞鯖!」
太「悪いけど、君一人の決定権ではポートマフィアは動かないよ。
それに、いきなりトランプと全面戦争なんて言葉軽々しく口に出さないでくれるかい?森さんが泡を吹いて倒れちゃうから」
「…チッ」
太「……まぁ、でも中也の云っていることが間違っているとは私は思わない。
第一、君はもう此方(ポートマフィア)に戻る気はさらさら無い筈だ。違うかい?」
太宰も歩み寄ってきて俺の隣に立つ。
だが島津は俯いたままなんの言葉も発さない。
「チッ…黙りか…」
太「…仕方が無い。我々も此奴に時間があまりない。彼女が部下達を足止めをしてくれているうちに、我々も此処を脱出しないと…
…じゃあ中也頼んだよ?この鉄格子思いっきりやっちゃって?」
その言葉を聞いた瞬間、鉄格子を力の限りめいっぱい握る。
「…そんなこと、手前に言われなくても分かってンだよ!」
________『重力操作』________
俺が異能を展開させると先程まで力を入れてもビクともしなかった鉄格子がいとも簡単に曲がった。
太「お見事!流石マフィア1の怪力だ!」
「誰が怪力だ、うるッせェ!はったおすぞ!」
あー、気にくわねェ…
そんな事を思いながら俺達はそこから牢屋の外に出ると、まだ尻もちをついている島津の顔を一瞬見た。
此奴は依然として俯いたままだ。
「…お前等、先行ってろ」
俺はその言葉を吐き捨てるように云うと、芥川と太宰は少し目を合わせたものの、それ以上は何も云わず此処を出て行った。
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作者名:アメ玉 | 作成日時:2019年5月6日 14時