作戦参謀〔其ノ弐〕 (ページ2)

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中原side

其の女は何処か懐かしげな雰囲気を醸し出していた。

髪は綺麗に結われており、黒いヒールに赤ワイン色のワンピース。極め付けに顔にはサングラス、耳には綺麗な宝石のピアスが付いていた。

何処かの御令嬢だろうか…？

サングラスをかけている為、顔は分からないがそれでも綺麗な顔立ちをしているのだろうと思った。

「手前は何故此処ヘ？」

俺は無意識にそう聴いてしまった。

女は少し驚いた後、何事も無かったかのように話し出した。

？「私、此処のカジノのポーカー台のディーラーをやっておりますの。今は別のディーラーがお客様の相手をしているので、私は少し休憩しているところです。…貴方は何故ここに？」

「奇遇だな、俺も遊び疲れて休憩だ。疲れ果てても、酒だけはなんだかいけるような気がして」

その時、女の手元に赤ワインが運ばれてきた。俺の見る限り、かなりの年代物だ。

マスターは慣れた手つきでグラスに注ぐと、女は御礼を云ってグラスを持ち上げた。

？「その気持ちよく分かりますわ…。

あ、紹介がまだでしたわね。私、ディーラーの＂ナカジマ＂と云います」

「俺は中原中也だ」

…ん？

ナ「中原さんですね。もしよければこの後も引き続きカジノをお楽しみください。それでは私は仕事があるので失礼します」

そう云って女は去ってしまった。

パシッ

ナ「…わぁッ！な、中原さん！何するんですか？」

俺は女の腕を掴んだ。俺が掴んだ衝撃でサングラスが取れ、金色の瞳が覗いた。

その顔を見た瞬間、俺は気を失いそうになった。

「…ッ！手前…何で…こんなとこに居るンだよ…！A！」

間違いない。忘れるはずもない。俺の目の前にいるのは

＿＿＿＿中島Aだった。

中「…どうして…？私の名前を貴方が知っているの？…貴方一体どなた様！？」

…は？

然し、そこまで来て俺は思い出した。あの糞鯖の言葉を…

太「トランプの長は精神操作系の異能だ。彼女はきっとその餌食になっている」

…そうか。だから此奴は俺が誰だかわからねェンだ！

「手前、本当に俺が誰だかわかんねェのか？」