食べ物の恨みは怖いんだぞ2《虎杖悠仁》 ページ12
「……確かに食べたのは悪かったけどさ。けど……そこまで怒る必要ないだろ!」
悠仁の真っ直ぐすぎる視線に捕らわれて目を逸らすことが出来ない。
『……そこまで?私がどれだけ苦労して手に入れたかも知らないくせに!よくそんなこと言えるよね?』
言葉の後、ハッと苦笑が漏れた。
「それは俺には分からないけどさ!けど、くそっ………あぁもうっ!俺もう帰るわ」
と頭をぐしゃぐしゃと掻きむしった後、いきなり手を離してスタスタとリビングに戻る悠仁。
『待ってよ!』
今度は私が悠仁の腕を掴むも彼はいっこうに止まる気配はない。
逃げたら許してくれるとでも思ってるんだろうか。例え悠仁でも許すわけないから……
こんなこと言う私ってつくづく最低だと思うけど、悠仁が私の立場であっても絶対こうするはずだ。
結局止まる気配のないまま悠仁は荷物を纏めて部屋の入口へ向かう。
『……ねぇ悠仁!待っ「うるさい!」……わっ!』
逃がすまいと悠仁の前に立った途端物凄い力で押しのけられ、そのままバランスを崩した私は近くの棚で頭を強打した。
『……いっ!』
あまりの痛さに顔を歪める。オマケに少し頭もクラクラする。
立ち上がろうとしても視界が歪んで膝に力も入らなかった。
「……!A!?」
流石に中々立ち上がらない私を見て焦ったのか、大急ぎでしゃがんで私の視界いっぱいに悠仁の顔が映し出される。
その顔にはもはやさっきの怒りの表情なんか無くて焦りしかなかった。
その直後、彼に思いっきり抱き締められる。
「ご、ごめん……!俺が突き飛ばしたから……っ」
「痛かったよな……」と掠れた声が耳元で響き、優しすぎる手付きで打ったところを撫でられた。
「……あれ、無断で食べてごめん」
少し撫でられた後、悠仁が事の発端を切り出した。
『ふっ……もういいよ。私もちょっと怒りすぎちゃった……』
「許してくれるの……か?」
『うん…ごめんね、あんなことで怒って』
そう言って微笑み返せば悠仁は途端に安堵の表情に変わる。
「よかった〜……俺、ほんとに許して貰えないかと思った……」
『でもこの代償は高くつくからね。今度スイーツ食べ放題、悠仁の奢りだから』
「うえぇ!?マジかよ…!……まぁいいかぁ…」
へへっと笑った悠仁を私ももう一度抱きしめ返した。
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kon - リクエスト書いてくださり、ありがとうございました。漸く読めました。凄い良かったです。やはり五条先生最高ですね。またリクエストさせていただくと思いますがよろしくお願いします。 (2021年1月9日 16時) (レス) id: 562bce1e3a (このIDを非表示/違反報告)
アメ玉(プロフ) - パンさん» わああ嬉しいです!ありがとうございます!!実は1番考えたセリフなのでそう言って貰えるととても嬉しいです!ありがとうございます!!(●≧∀)キャッ (2021年1月7日 11時) (レス) id: bd385b4018 (このIDを非表示/違反報告)
アメ玉(プロフ) - 伊織さん» 伊織さん!了解致しました!!少しお時間いただきますね!! (2021年1月7日 11時) (レス) id: bd385b4018 (このIDを非表示/違反報告)
パン - 「へへっ」って。それはイカン、可愛い。可愛いが過ぎる。キュン死するぅ (2021年1月6日 22時) (レス) id: 137cca8dd3 (このIDを非表示/違反報告)
伊織 - あ、二つ目の方のリクエスト、書き忘れてましたが「両片思い」「同期」でお願いします! (2021年1月6日 20時) (レス) id: 562bce1e3a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:アメ玉 | 作成日時:2020年12月13日 23時