泣く無く亡く哭く [３年Ａ組]

亡く９ ページ9

「アカリちゃん、写真好きなの？」






『え？』





高一の時、澪奈と初めて喋ったの






今でも覚えてる







『写真集見るのが好きって言うか

　私、何か見ておかないと人を無意識に見る癖があって

　それを直すみたいな感じで中学生の時から買ってるの』






「へ〜、そうなんだ

　ちなみにその写真集は何？」






『これはね、深海だよ

　綺麗でしょ』






初めて話す人だったから少し必死だった






「これってもしかして

　鯨？」






『よくわかったね！

　そうなんだ、これ奇跡的に鯨が入り込んだんだって

　写した人をスッごく慌てたって感想に書いてあったんだ！』






「あ、私景山澪奈

　アカリちゃんは鹿本アカリちゃんだよね

　これからよろしく」






そう言って澪奈は右手を出した






『いっ、いきなりだね』






ビックリはしたが







嬉しくって私は右手を出した






それから






「アカリ！近くの美術館で

　雫のアート写界会があるって聞いて

　チケット二枚取ったんだけど！

　行く？」







『スッごく行きたい！

　本屋さんに行ったときチラシ貰ったんだ！

　澪奈ありがとう！』







『ねぇ！澪奈！

　街にあまり人が通らない場所なんだけど

　ここにスッごくおいしいパフェやがあるんだけど

　一緒に行かない？』







「今日部活休みだから

　行きたいな！じゃあ、帰りに行こう！」






すごく澪奈と仲良くなれて






自然と笑いが出る日々を送っていた







『お母さん！今度澪奈が来るから！』






「あらあら、最近澪奈澪奈ね

　涼音ちゃんの話聞かないけど」






『あー、朝一緒に登校するぐらいかな！』







「そう、まぁいい友達を持つのは

　高校生活でもっとも楽しいことだからね！」






お母さんの言葉は少しチクリと心に来たんだ






その日ベッドでLINEを見ると






涼音から一件入っていた







『なにっ、コレ』






今でもあの文章を覚えている






長い長い文章だった






そんな記憶が寝ているときにグルグル回っていた







吐き気が込み上げてくるようだった






すると周りがガヤガヤしてきた






あぁ、朝か






モヤモヤな気持ちで






人質たちの二日目の朝が来てしまった

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