じんろうげーむ―Are you a human, or…？― (ページ1)

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１日目　昼のターン作者・メロディドール♪ ページ1

なぜ、あの日、あんなことになってしまったの？
なぜ、なぜ―

　「見て！」
　およそバスケ部には見えないクルクルカールヘアお嬢様、花梨が向こうを指して言った。
「木ばっかだよ！」
「安藤先輩…何のために来たか分かってますか？」
鈴が苦笑いする。
「もぉ、分かってるよ！莉亜さまの活躍を見守るために！バスケ部マネになったの。」
「花梨…」
私がそう言うとあはは、とバスに明るい笑い声が響いた。
星海大付属は文武両道の名門中学。
星海大学は国でも指折りの私立大学。付属のバスケ部は全国大会の常連で、毎年恒例の軽井沢合宿がお楽しみ。
『あの日』もそう、だったー

「人狼ゲームってしってる？」
　花梨が瞳を輝かせて聞いてきた。
　何それ？と私が聞くと那留が言った。
　「知識無いですねぇ、センパイ。僕のような完璧美少年に言わせれば、こうです。」
　那留が言ったのはこのような話だった。

　―ある平和な村に、人に化けた1匹の狼が紛れ込んだ。
　狼は村人を夜に食べてしまう。
　そこで村人たちは毎日、昼に狼だと思う人物を処刑し始めた。
　狼がいなくなるのが先か、村人が全滅するのが先か―？

　「面白そうじゃん。」
　私が言うと、鈴も言った。
　「うん、面白そう。」
　俺も、私もという声がバスに響いた。
　「じゃあカードひいてー！」
　コレガジゴクノハジマリダッタ―

　「じゃあ『昼のターン』行くよー！」
　すがすがしい森の木々の匂いが漂う中で、私たちはゲームを始めた。
　毎日昼と夜に集まって、生存者だけがゲームをする。
　私と並ぶ3年のエース、誠也先輩が叫ぶ。
　「狼だと思う人物は？せーのっ！」
　皆の指先が、―那留のほうを向いていた。
　「何で僕がっ！？」
　那留は茶色っぽいサラサラの髪を指でとかしながら言った。
　「だって、那留さぁ。いつもならあたしたちに『ハニー』とか『ベイベー』とか10回は言ってくるのに今日は8回なんだもん。怪しい！」
　笑い声は木々に吸いこまれていった。

　「花梨、あのゲーム面白いね！」
　私たちはテントに向かっていた。
　砂利道が歩きにくい。
　「でしょでしょ？―ひっ！！」
　花梨が崩れるようにへなりこんだ。蒼白した顔で。
　「どうしたの？」
　がくがく震えながら指さしたほうにあったのは―
　―――夢、だよね？
　今も血がドクドクと流れ続ける首だけの那留が私に笑いかけていた。
　それは何ともこのゲームの幕開けにふさわしかったのである。