□89.つぎはぎ ページ9
***
｢………なに…これ………、｣
.
夕飯の買い物をして家に戻ると、
部屋がありえないくらいに荒らされていた。
いつもきっちりと整頓している直輝。
部屋にも物は少なくて、むしろ殺風景なほど。
部屋がぐちゃぐちゃになっているなんてこと、
今まで1度も無かった。
.
直輝のデスクに置かれていた書類は床に散らばっている。
テレビの線も抜かれていて、
そして何より、
彼が大切にしていたパンダのぬいぐるみが、
床に転がっている。
これだけで、彼の身に何かあったのは明白だった。
.
すぐに家中探したけど直輝の姿はどこにもなくて、
携帯に電話をかけてみるけど繋がらない。
.
……凄く嫌な予感がする…。
とりあえず何か情報はないかとテレビを繋ぎ直して、
電源を入れてみる。
すると…、
.
“コアラ男誘拐事件、その犯人が”
“当時事件を追っていた警察官、森島哲也である可能性を示す…”
.
｢…………………え｣
.
電源を入れたテレビから入ってきたのは、
耳を疑うような情報だった。
直輝が我を忘れるほど動揺することと言えば、
…お父さんのことしかない。
そう考えると、目の前で淡々とニュースを読むキャスターの声と、この部屋の惨状が線で繋がった。
.
.
どうしよう…、このままじゃ、
直輝が、壊れてしまう………、
***
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1248人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：紙兎
| 作成日時：2020年3月16日 7時
