□002.ショコラの嫉妬 ページ42
***
やっぱ、この人はモテるのだと思う。
街を歩けば必ずと言っていいほど、
若い女の子達が彼に視線を奪われているし、
一緒に行ったご飯屋さんでは、
注文の度に店員の女の子が、
彼のキラースマイルに頬を染めていた。
.
甘すぎるマスクからは想像も出来ない逞しい体型。
何を着てもかっこいいし、笑顔は可愛いし。
そのうえ優しくて気も利く。
…こんなハイスペックな彼が、モテないわけはなくて。
.
.
｢これ、どうしたの？｣
直輝｢ん？ああ、チョコ貰ったの。食べていいよ。｣
｢…ふーん。｣
机の上に置かれていたのは
可愛らしいリボンのついた箱に入ったチョコレート。
“なんか余ったから〜って、Aチョコ好きでしょ？”
.
うん、好きだよ、好きだけど。
聞かなくても分かる。
これをくれたのは間違いなく女の子。
こんな手の込んだ箱に入ったチョコレートが、
たまたま余ったりはしないことも分かってる。
これは絶対、
直輝にあげるつもりで買ったやつだ…。
.
.
直輝｢…A？｣
｢…｣
.
｢……………あんま、モテないで…。｣
堪らず彼に正面から抱きつくと、優しく腕が回ってきて、
安心感に包まれる。
.
｢…直輝は…カッコよすぎるから…｣
直輝｢ふふ…、そんなの言ってくれるのAだけだよ？｣
｢…嘘。｣
直輝｢よし、じゃあこれからこういうプレゼントは
受け取らないことにする。｣
｢えっ…、｣
直輝｢後は？｣
｢…？｣
直輝｢後は、どうしたらAの不安は小さくなる？｣
ぎゅー…って抱きしめられたまま、
蜂蜜みたいな甘い声でそう囁かれる。
.
｢……そ…そんなの…分かんない｣
直輝｢…じゃあ、とりあえずいっぱい甘やかす方向性で。｣
｢…！｣
.
そう言って色気のある顔で微笑んだ直輝は、
ふわっと私を抱き上げて、ベットの上に下ろした。
.
.
直輝｢俺がどんだけAのことばっか考えてるか
教えてあげる…。｣
ショコラの嫉妬【完】
***
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作者名：紙兎
| 作成日時：2020年3月16日 7時
