■102.葬られた真実 ページ22
***
Naoki Side
崩壊寸前の精神状態で佐島と死闘を繰り広げたものの、
結局父の事件の真相を掴むことは出来なかった。
.
怒りの感情に身を任せ奴を殴り、首を絞めた。
.
これで、これでやっと終わる。
父さんを殺した犯人を、俺の手で……、
もう少しで奴の意識が落ちる、というところで、
佐島は、ぎゅっと目を固く瞑り、涙を流した。
俺はそれを見て、ﾊｯ…と首を絞めていた手を離した。
刹那にゲホゲホと勢いよく咳き込みだす佐島。
.
佐島｢…っ、…なんで止めるんだよ！！！！
やれよ…！！最後までやれよ…っ！！｣
直輝｢…おい、まだ何か隠してんだろ…、話せ｣
佐島｢…っ、｣
直輝｢話せっ！！隠してること全部話せ！！｣
.
俺は再び奴に掴みかかり、激しく揺さぶった。
しかし何も話そうとしない。
それどころか、
俺が逃がさないと察すると、ポケットから小瓶を取り出し、
大量の錠剤を手に取りそれを口に含んだ。
.
直輝｢…おいっ！！！隠していること全部言え！｣
佐島｢…っはぁ、…はぁ…っ、｣
直輝｢言えよ！！おいｯッ…！！｣
.
ついにそのまま意識を手放してしまった佐島。
俺はまた、振り出しに戻ったのか…、
人生の全てをかけて挑んた決戦で、
何も得ることなく、振り出しに…。
動かなくなった佐島を見て、
やり切れない気持ちでいっぱいになった。
よろよろと立ち上がり、
奴の近くに落ちていた黒い手帳を手に取る。
直輝｢……っ……！｣
.
それは父の警察手帳だった。
中には自分の幼い頃の写真とが入っていた。
.
…パパ、8年前、佐島と何があったの…？
俺は結局、その答えにたどり着けないままだ。
***
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作者名：紙兎
| 作成日時：2020年3月16日 7時
