■99.Weak point ページ19
***
Naoki Side
リコと一緒に犯人である佐島をおびき出すための
動画を撮り、パンダチャンネルで配信をした。
これできっと、
佐島は明日にでも俺に会いに来るはずだ。
.
直輝｢…リコ、あとは俺一人でいい。｣
リコ｢え？明日のパンダチャンネルは？｣
直輝｢必要ない。時間までに必ず犯人は現れる。｣
リコ｢…そっか。そうだよね。
決着は自分でつけたいよね。｣
.
彼女の言葉に何も言わずに頷き、歩き出すと、
後ろから “ねえ！” と声をかけられた。
.
リコ｢復讐なんてやめたら？｣
直輝｢………え…、｣
リコ｢私もさ…、辛いこといっぱいあったし、
現実を憎んで生きてきたけど、
ミスパンダやってみたらさ…、
案外楽しかったんだよね。
…だからあんたも、復讐なんかより、
もっと楽しいこと沢山やった方が
いいんじゃないのって思っ…｣
直輝｢…やっとここまで来たんだ…！
………もう引き返すことなんてできない。｣
.
彼女の言葉に食い気味で反論したのは、
自分の中にある弱い心を見破られないようにするため。
だけどリコは、まっすぐと俺の目を見つめている。
きっと彼女には俺の弱い部分に、
既に気づかれてしまっているのだと悟った。
.
リコ｢でも飼育員、凄く辛そうだよ。｣
直輝｢…………っ……、これにケリつけなきゃ…、
俺は前に進めないんだ。｣
リコ｢…そっか。…ならしょうがないね。｣
.
.
リコ｢命かけて守りたいって思えるものがあるなら、きっとこの先、楽しい未来が待ってるよ。｣
直輝｢……、｣
リコ｢復讐がどうなろうと、
普通に楽しい人生を送るんだよ。飼育員。｣
.
.
…命かけて守りたいもの……、
そんなの、一人しか思いつかない。
“Aちゃんのこと、大切にしてあげてください”
と言ったレンの声が頭によぎる。
どうしてレンもリコも、
俺より俺の気持ちをわかってしまうんだろう…。
***
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作者名：紙兎
| 作成日時：2020年3月16日 7時
