□91.太陽の女神 ページ11
***
レン｢…Aちゃん…！｣
｢…レン…、｣
電話を切ってから本当にすぐにレンは来てくれた。
会うやいなや彼女は私をぎゅっ…っと抱きしめてくれて、
その優しさにまた泣きそうになった。
.
｢…直輝と、連絡がつかなくて…、
レンのとこに行ってないかなって…
思ったんだけど…、｣
レン｢直輝さん…？｣
｢直輝、今絶対に元気なくて…、
今一人にしちゃダメなのに…、私……っ…、｣
レン｢落ち着いてAちゃん…！
ゆっくり、ゆっくりでいいから最初から話して…？｣
.
.
近くにあったベンチに座りながら、
私はレンに直輝のことをできるだけ簡潔に話した。
色々あって何年も一緒に暮らしていること、
私がレンに近づいた理由、
今、直輝のお父さんが濡れ衣をきせられていること、
その報道を見た直輝がいなくなってしまったこと、
言葉に詰まりながらたどたどしく話す私に、
レンはずっと優しく背中をさすってくれていた。
彼女のこういう優しいとこ、直輝に似てる…。
.
.
レン｢…そっか、話してくれてありがとう。｣
｢…………ごめん、急に。
それに……、騙すみたいなことしてて…ごめん。｣
レン｢…Aちゃん、｣
｢…？｣
レン｢最初はどうであれ、
一緒に囲碁やったりお茶したりできて嬉しかったし、
今こうして全部を私に話してくれたのも嬉しい。
全部を聞いた今でも、本当の友達だと思ってるよ。｣
｢……レン…｣
レン｢…だから、隠さなくてもいいんだよ。｣
***
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作者名：紙兎
| 作成日時：2020年3月16日 7時
