好き以外の優しい言葉を全部Ⅲ【シロクロ】 (ページ7)

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□87.渇いた胸に注がれる優しさページ7

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あの日、直輝は一晩中隣に腰掛けて
私を寝かしつけてくれていたらしく、

朝私が、目を覚ますと少し眠そうだった。

そっと静かに布団の隙間から顔を出し、
じっと眠そうな彼を観察していたら、

少しして、こちらに気づいた直輝が、
“おはよ” って、いつも通りの優しい声で。

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そんな彼の対応に一瞬面食らったけど、
予想していなかったといえば嘘になる。

前にキスされた時も、彼はいつも通りだったから。

昨日のことだって、彼にとっては、
飼ってる犬に手を噛まれたくらいのことなのだろう。

ムカつくけど、正直助かったとも思う。

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そんなふうに安心していたのもつかの間、
ベットから離れて出かける準備を始める直輝。

あれ…、まだ朝早いのに、もう出かけるの…？
どうしたんだろう、
やっぱり私といたくないのかな…、

すぐにそんな不安に駆られる。

.

.

直輝｢Aはまだ寝てな。
起きたらちゃんとご飯食べるんだよ。｣

｢………え、…もう…行くの…？｣

直輝｢昨日仕事残しちゃったから、早めに出るだけ。
心配しなくてもちゃんと帰ってくるよ。｣

そう言って、
ぽん、と私の頭を撫でた直輝。

.

直輝｢…じゃあ、いってきます。｣

.

…まだ寝てな、って、
直輝の方が寝てないくせに。

こんな時まで私の心配をする余裕がある直輝が
心底恨めしい。

こっちは…、昨日のことでいっぱいいっぱいだと言うのに。

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