■114.悪者は僕だけでいい ページ34
***
Naoki Side
直輝｢………はぁーーーー…、あーあ｣
俺は、先程の男達が落としていったナイフを手に取った。
.
“復讐なんてやめたら？”
“直輝さんに、危ないことはして欲しくないです”
“……復讐なんてやめよう…？”
“お前は絶対に復讐をするな”
レン、リコ、A、父さん、
色んな人達の顔や声が頭に浮かんでは消える。
みんな俺を心配していて、
復讐なんてするなって、口を揃えてそう言う。
.
.
＿＿＿＿＿＿＿＿…………でも、
直輝｢…………はは…っ…、
…みんな…、ダメって言うんだろうな……、
……でも…、どうしても許せないんだ…、
…それに、これを終わらせないと…、俺は前に進めない…｣
.
誰と会話をしているのか自分でも分からない。
湧き上がる殺意と、
無条件に零れ落ちる涙が言うことをきかなくて、
もう自分の感情をコントロールできない。
.
直輝｢……………大丈夫だって、俺、強くなったよ……？
……うん、うん、…ふふ……、パパ、行ってきます。｣
.
天国にいるパパににっこり笑ってみせた。
この女にナイフを刺して、全部終わらせる。
そのことだけを考えて、
ありったけの力をこめて駆け出したその時、
“…だめ…っっ！！”
という誰かの声がした気がした。
それに構わずあずさの元へ走り出し、
彼女の体にナイフを突き刺そうと刃を振り下ろした瞬間…、
.
.
.
｢………………ｯ…………っ！！！｣
直輝｢…………………………………………！｣
.
俺が持っていたナイフは、
勢いよく正面から俺に抱きついてきたAの腹部に刺さっていた。
.
直輝｢…………A…っ…、A…ｯ……！？｣
｢………ｯ…、…もう………、…だから言ったのに〜………｣
.
Aは震える手で俺の頬を撫でて、
“…直輝…、…大好きだよ”
と小さく呟いて、目を閉じた。
.
直輝｢………Aーーーーっっｯ…！！！｣
***
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1247人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：紙兎
| 作成日時：2020年3月16日 7時
