■82.快楽へのカウントダウン ページ2
***
Naoki Side
“一緒に寝よ…？”
泣きそうな顔でそう彼女に言われた時、
自分の中に何本かある理性の糸が1本ﾌﾟﾂﾝと切れた音がした。
いや…、抑えろ、彼女は俺を試しているんだ。
それか、寂しさにかまけて自分の言動に無責任になっているとか、自暴自棄になっているとか。
とにかく…、この雰囲気に流されてはいけない。
今感情の赴くままに彼女に触れてしまえば、
絶対に彼女を傷つけてしまうことになる。
.
直輝｢…それはだめ。｣
｢…なんで｣
直輝｢…なんでも。｣
｢やだ……、｣
直輝｢…A、｣
｢…やだっ………！｣
.
ああもう、なんで今日に限ってこんな強情なんだ。
いつもこっちが心配してしまうくらい、
自分の気持ちなんて二の次なくせに。
どうして今日はそんなに素直にストレートな言葉をぶつけてくるんだ。
.
｢…なんで？この間は一緒に寝てくれたじゃん…！｣
直輝｢あれはそういうことじゃない。
それにあの時はAが離れなかったから…｣
｢…じゃあ今日も離れない｣
直輝｢A…、離れて。｣
｢……な…ん…で……ｯ…｣
.
ついにポロポロと涙を溢れさせてしまったA。
君を泣かせないために早く帰ってきたのに、
これじゃ俺が余計に泣かせてしまっている気がする。
.
“ごめんね” と抱きしめてあげたい。
でも今それをしたら止まれる自信がない。
ましてやここはベットの上で、
少しでも間違えば理性なんてすぐに飛ぶ。
…頼むから、今日はここで引いてくれ…、と思うのに、
首筋に感じた感触に、ｿﾞｸ……っと、快感がはしる。
***
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作者名：紙兎
| 作成日時：2020年3月16日 7時
