■21.Melty time ページ21
***
Naoki Side
直輝｢…A。｣
｢……、｣
直輝｢…寂しかった？｣
.
さっきみたいに、
別に、と返されると思ってたのに、
ｺｸﾝ…、と小さく頷くから今度はこっちがたまらなくなる番。
.
怖い夢を見たと泣いていたのが昨日。
ナンパ男に絡まれて怖い思いをしたのが今日の昼。
ここのとこAが怯えるような出来事ばかりが続き、
かなり心細い思いをさせてしまっていたのに、
一人にしてしまったことに罪悪感を覚える。
.
直輝｢…ごめんね、明日はずっと一緒にいるから。｣
｢…ん…｣
直輝｢寝ていいよ、起こしちゃってごめんね。｣
｢…なお…きは？｣
直輝｢もう少ししたら寝るよ。｣
｢……やだ、なおきも…｣
直輝｢シャワー浴びたらすぐ戻ってくるから、ね？｣
｢…やだ｣
眠気がピークに来ているのか、
随分と甘えたになっているA。
俺のお腹の辺りにぎゅー…っと抱きついて来て離れない。
.
でも、さすがにこのまま寝るわけにもいかず、
どうすれば良いかと困っていたら、
不意に目が止まったのは先程Aから受け取ったパンダ。
…あ、これだ。
.
直輝｢俺が来るまで、この子と一緒に寝てて？｣
｢…パンダ…？｣
直輝｢うん、待てる？｣
｢…早く戻ってきてね…。｣
直輝｢分かった。｣
.
一か八かの作戦だったけど、どうやらうまくいったらしい。
眠くて思考回路が幼児退行しているAにはちょうど良かったようで、
再びパンダを胸に抱いて、眠りについてくれた。
***
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作者名：紙兎
| 作成日時：2020年1月21日 0時
