■20.子供のよう ページ20
***
Naoki Side
直輝｢…ただいま。……A…？｣
.
日付を超える少し前、
家に帰ってきたはいいけど部屋の中は暗いし物音一つしない。
＿＿＿＿＿…まさか、いない？
そんな焦りを感じて慌てて電気を着ければ、
パンダのぬいぐるみをぎゅっと抱いたままベットに小さく丸まっているAが。
その姿が子供のようでクスッと笑ってしまう。
.
｢……ん……、…｣
直輝｢…ごめん、起こした。｣
｢………ん…大丈夫…、……おかえり、｣
直輝｢ただいま。
ちゃんと布団の中入って寝ないと風邪ひくぞ？｣
.
｢……………ぁっ、あ、ごめん！｣
直輝｢ん？｣
｢…いや、これ、直輝の大切なやつ…！
勝手に触ってごめん…！｣
眠そうな顔から急に慌てだしたかと思ったら、
そんなこと。
抱いていたパンダを俺の前に差し出して、
ごめんね、と何度も謝ってくる。
.
直輝｢別にAならいいよ？｣
｢…え、｣
直輝｢なんか、ぎゅって丸まってたの可愛かったし。｣
｢…っ//｣
直輝｢ご飯は？ちゃんと食べた？｣
｢あ…、忘れてた｣
直輝｢…もう、それ忘れちゃダメでしょ。｣
｢…食べなくたって平気だもん。｣
直輝｢ダメ、細すぎて心配になる。｣
さっき抱きしめた時にも思ったが、
元々華奢なのに最近は更に細くなった気がする。
.
俯いたままなにも言わなくなったAが心配になって、
優しく頬を撫でてやれば、
ﾎﾟﾂﾘ、泣きそうな声で口を開いた。
.
｢…直輝とじゃ…なきゃ…やだ……｣
***
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作者名：紙兎
| 作成日時：2020年1月21日 0時
