□14.ひとりぼっち耐性 ページ14
***
直輝｢ついでにAの夜ご飯なんか買ってく？｣
｢え？……あ、そっか。うん、買う。｣
直輝｢じゃあコンビニ寄ってこっか。｣
.
彼に手を引かれて家の近くのコンビニに入る。
そうだ、今晩、直輝いないんだ。
忘れていたことを思い出して
ちょっとだけ寂しくなってしまう。
色々ありすぎて意識が回っていなかったけど
よく見れば直輝もいつもよりキチッとした服を着ている。
.
｢…あずささんとデート？｣
直輝｢うん。
…何にする？おにぎりとか？｣
そんなあっさり、うんって言われるとは思ってなかったので少し面食らってしまう。
…っていうかちょっと待て…、
私の意を決した質問とおにぎりを同率に扱うな！
.
そしてもうひとつ。
コンビニに入ってからもずっと手は繋がれたまんまで、これにも突っ込んでいいものか迷う。
今日の夜、彼女とデートする人が、
別の女と白昼堂々手を繋いでいいものか…。
でも多分、こんなにグルグル悩んでいるのも私だけで、
直輝にとってはただの子守りみたいなテンションなんだろうな、うん、きっと、深い意味はない。
.
直輝｢A？｣
｢…え、ぁ、｣
直輝｢食べたいやつ、選びな？｣
｢…うん。｣
.
食べたいやつ、…か。
正直、一人で何か食べても味気ない。
彼と一緒にいるようになってからはずっとそうだ。
何をするにも一人じゃ物足りなくて、
直輝がいなきゃダメになってしまった。
.
｢…これにする、｣
適当に選んだおにぎりを一つだけカゴの中に入れて、
そのままお会計へ。
その間も、沈んだ気持ちが晴れることはなかった。
***
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作者名：紙兎
| 作成日時：2020年1月21日 0時
