7 (本編2ｰ��)松平 ページ10
掛川のとある村
夜、人々がすっかり寝静まった頃
古びた家屋の傍に僕は立っていた。
短刀が美しい三日月に照らされる。
これがあれば人間の1人や2人くらい簡単に殺せてしまうだろう。
いや、殺せる
元よりその覚悟でここまで来たのだ。
その筈だったのに
『やっぱり僕にはそんな事出来ない』
泣きそうになりながら首を振って、短刀を鞘に納めた。
やっぱり僕にはあの人を殺せそうもない
「行ってしまうのか」
『っ！？』
「お主、半蔵では無いな
あやつはその様に俊敏には動けんからな」
家屋の中から聞こえた声に、再び短刀を構える。
対する声は呑気にカラカラと笑っている。
「あぁそんなに怖がらんでくれ
儂はお主らの、刀剣男士の方々の助けになりたいのじゃ」
『な！なぜその事を』
「やはり貴方も刀剣男士であったか
いや、
この世界には歴史を守る存在が居ると」
声は…松平信康公は、なんでもないことのように言い放った。
口ぶり的に石切丸さんでは無い。
それなら、その事情を知る者とは誰なんだ。
『その話詳しくお聞かせ願えますか』
「おお？なんじゃえらい食いつきだな」
『いえ……』
「よいぞ。入っておいで
いくら夏でも夜は冷えるだろう」
ハッとして声の方に振り返る。
こんな夜に一振で自分に近づいてきたんだぞ
怪しいと思わないのか
天下人の嫡男だったのなら今までだって暗殺の危機とか…
無かったのか？
あの6振りが育ててたなら、信康様に辿り着く前に尽く返り討ちにあっていてもおかしくないか。
『申し訳ないのですが、それはできません
僕は貴方を殺そうとここに来たのですよ』
「左様であったのか
なに、ここで殺されるならそれも運命だ」
潔い答えに拍子抜けする。
せっかく生かしてもらったのに、何故そこまで割り切れるんだ
天下人の血筋とはこうも豪胆なモノなのか
『っ、どうしてそんなことを！
貴方が死ねば石切丸さん達が悲しみます
分かっていらっしゃるでしょう』
「儂を前にしてなお斯様に優しい事を言える者が
どうやって儂を殺せると言うのじゃ」
『あ…』
扉が開く音がして、次いで後ろから包み込むような温もりを感じる。
恐る恐る視線をあげると、そこには優しそうな顔があった。
「昔 半蔵がよくこうしてくれてな
儂は半蔵程大きくはなれんかったが、ほれ！
お主くらいなら包めるじゃろう」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 289人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「刀剣乱舞」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
愛莉(プロフ) - コメントありがとうございます！かなり事故が起きてた気がしますね笑 あれで優勝してしまうんだから何が起こるか分かりません… (2020年11月3日 16時) (
レス) id: 5de24330da (このIDを非表示/違反報告)
碓氷時雨(プロフ) - 初コメ失礼します。主さんネプ○ーグ見てましたねw煎餅(ぜんざい)にオーーーンとして、卑今日な感じでしたw(面白すぎてwww)そして、「間違えたら歴史修正するからな」という発言しちゃったしで、腹筋崩壊しましたw (2020年11月3日 15時) (レス) id: 49e22a6e0b (このIDを非表示/違反報告)
愛莉(プロフ) - アルク_Allcさん» コメントありがとうございます！ネ〇リーグ面白すぎて卑今日でしたね笑 オーーーン (2020年11月3日 14時) (レス) id: 5de24330da (このIDを非表示/違反報告)
アルク_Allc(プロフ) - 初コメ失礼します。投稿主さんもネプ○ーグ見ていたのでしょうか() 煎餅(ぜんざい)← オーーーン() (2020年11月3日 7時) (レス) id: ebd1494a69 (このIDを非表示/違反報告)
愛莉(プロフ) - LkXhmbai0Tyhbzxさん» コメントありがとうございます！次編(歌合編)にはなってしまいますが、源氏兄弟とのお話も考えております。今しばらくお待ち頂けますと幸いです！少しでも日々の癒しとなれるよう、ぜんざいを齧りつつ精進してまいります…笑 (2020年11月3日 1時) (レス) id: 5de24330da (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：愛莉 | 作成日時：2020年10月9日 21時
