【刀ミュ】３・最年少の高校生男子は秋田藤四郎になりました

29　叫べ ページ31

「「制！」」


掛け声と共に大きな火柱があがる。
炎の熱と会場の熱気で、露出した肌がジリジリと焼かれるようだ。


長い祭りもいよいよクライマックス。
男士達は衣装を脱ぎ捨て、全員揃って歌い踊る。

実季様達が叩く太鼓の音と僕達の歌声、主君達の掛け声が合わさって
最後にふさわしい盛り上がりを見せていた。



小狐丸さんが牙を剥き、次いで鶴丸さんがソロを歌いあげ
グラフィックポイが光の文字を映し出す。

三日月さん、蜻蛉切さんの歌声が力強く響き
ラスサビへと加速していく。








「闇を切り裂いてく」



吠えるような掛け声と、高まっていく熱量に
全身の血が湧くような興奮を覚えた。


獣のように猛々しく歌う男士達
その間を、舞台中央へ向かって歩いて行く。
笹沼Aとしての緊張はとうに無くて
“秋田藤四郎”という名の獣になった気分だ。



「叫べ wow…」




会場のボルテージが最高に達したその時
舞台を彩っていたライトが消え、
ただ一振僕だけが照らされた。


まるで舞台の上に僕だけが立っているような
心地良い重圧と高揚感。
心臓が、どくんと大きく跳ねる




『己に牙を剥け！』


噛み付くように力強く言葉を紡げば
この瞬間は秋田藤四郎の、僕だけの物だ。




「「「「Say 押忍！」」」」

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