32 本編�� ページ35
『実季、さまっ』
「ようやっとここまで来たか。凍蚓よ」
たどり着いた時、彼は空を眺めていた。
鳥も飛ばす、ただ灰色の厚い雲で覆われた
時化の空を。
「そのような苦しげな顔で見るでない
そうまでして何故儂を殺そうというのか」
『あなたはっ…生きてはいけないのです
それが正しい歴史だから、だから僕はっ！』
「それはお主の使命であろう。
本当の、お主の本心は如何様なものか」
本心？
そんなの、僕だって実季様に生きていて欲しいに決まっているじゃないか。
でも、でもっ！
『これ以上生きてもきっと苦しいだけだから
僕は守るんです……あなたの最期を！』
「そうか…よくぞ言った凍蚓よ
この秋田実季、お主を最後の敵と認めよう
見事この儂を倒してみよ！」
実季様は凛々しく、そして優しく笑った。
涙はこらえて本体を構える。
実季様も腰の太刀を抜き、僕に向けた。
明確な合図はない。
でも【その時】は、もう身体が覚えている。
僕と実季様は、殆ど同時に地面を蹴った
・
『っ僕の、勝ちです』
「……参った。儂の負けだ」
実季様の首元に刃を向けた。
それでも尚、実季様はいつもの優しい笑顔で僕を見ている。
実季様の身体は、既に傷ついてボロボロだ。
全部、僕が斬りつけた。
「では、凍蚓よ
やってくれ」
実季様は至って落ち着いていた。
ボロボロの身体で僕の前に座す。
『(いやだ)』
嫌だ。本当はこんなことしたくない
今までの激しい打ち合いに呼吸は乱れ
涙の雫は止めどなくこぼれ落ちた。
ここにきて決意が揺らぐ。
「躊躇うな秋田
早くやってやらねえと辛いのはそいつだぞ」
いつの間にか仲間達が追いついてきていた
見守ってくれるけど、手出しはしてこない。
分かっている。
これは僕の仕事だから
『(こんなボロボロで…苦しいですよね)』
深く息を吐く。
刀身と、その銀線の先に待つ実季様を
真っ直ぐに見つめる。
『お命……貰いますっ！！』
ライトが眩しいくらいに僕達を照らし、
そしてその全てが消えた。
何も見えない暗闇が覆う。
刹那
真っ暗な空にヒビが入る。
それは黒いピースとなって剥がれ落ちた。
その向こうから、晴れ渡った青空が顔をのぞかせる。
「おいおいっ今度はなんだってんだ！」
「これは！？」
「歴史が、世界が…修復されていく」
舞台に光と色が戻ってくる。
全てが正しく戻った時、
空色の下に居たのは刀剣男士だけだった。
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愛莉(プロフ) - あんのお餅さん» あんのお餅様コメントありがとうございます。3年ぶりの祭、テンション上がりますよね！今からとても楽しみです！ (2021年11月16日 1時) (
レス) id: dbfedac61a (このIDを非表示/違反報告)
あんのお餅(プロフ) - 真剣乱舞祭、決定しましたね！ (2021年11月16日 1時) (レス) @page46 id: 436e739fd5 (このIDを非表示/違反報告)
愛莉(プロフ) - 那智さん» コメントありがとうございます！こちらこそ、この作品を読んでいただけていること感謝しております。那智様にとって素敵な一年になりますように( ´ ` *) (2020年6月9日 19時) (レス) id: 5de24330da (このIDを非表示/違反報告)
那智 - 誕生日にこの作品に出会えて感謝感激です(≧▽≦)毎日暑いので無理されませんようお気をつけ下さい (2020年6月9日 13時) (レス) id: fb12e35feb (このIDを非表示/違反報告)
愛莉(プロフ) - ヌーマイトさん» コメントありがとうございます！これからも投稿続けていきますのでよろしくお願いします (2020年5月28日 16時) (レス) id: 5de24330da (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：愛莉 | 作成日時：2020年5月23日 14時
