48、止まない風と忘れたもの ページ6
「…なんでもありません、か…」
私は壁にもたれかかってしゃがみ込む。
パラパラと服に砂が溢れ落ちてきた。
なんだろうな。
決まりがある、とスオウの助けの手を払ったのは私なのに。
島の人々が怖くて、大勢の好奇の目が嫌で。
でも、結局は、孤独が怖くて。
拒絶しなければ、もしかしたら今は…と、思ってしまう。
私はまだ、変われない。
心の中は、感情でいっぱいだ。
「……」
オウニ。
私は…あなたと同じようで、違うのかもね。
あなたは自分の正体を知らない。
だけど、答えを求めて探している。
私も自分の正体を知らない。
だけど、答えを求めるだけで、本当は怖くて、結局みんなと行動しようとしない。
『クレナ！お前も行くか？』
『ニビ、おはよう！どこに行くの？』
『？どこって普通にタケノコ採りだけど？』
『あ…うん、今日もやめておく』
『…。そうか！じゃあ留守は頼んだぞー！』
『ごめんね。本当は行かなきゃいけないのに、いつも食べ物とってきてもらって…』
『いいって！こうして留守を守ってくれるだけで、立派だぜっ！』
『そうだよー！アタイたちに任せてくれればいいから！』
『…うん。ありがとう』
『じゃあ行ってくる！』
『いってらっしゃい！』
ぽんぽんっ
『あっ…オウニ？』
『いってくる』
『うん…いってらっしゃい』
『ああ』
私は、顔を膝にうずくめる。
そよ風は止まない。
怖い。
痛い。
胸の奥がうずいて気持ち悪い。
聞こえる。
私の心には、誰かがいる。
私がいる。
他の誰かもいる。
それは私を苦しめる。
私はそれを苦しめる。
真っ暗な目の前。
静かに髪が揺れる。
私に色はない。
真っ白でもなくて、闇の黒でもない。
ただ、私には色がない。
「オウニたちに合わせる顔もないな…」
私は、なにかを忘れている。
私の一部を、忘れている。
風だけが俯く私を知っていた。
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姫乃(プロフ) - 鈴さん、ありがとうございます！そんなー！嬉しいです！読んでくださるだけでもありがたいのに、面白いだなんて、楽しみだなんて！！中間考査中にも更新出来たらしますね！ (2018年5月10日 0時) (
レス) id: 9a7901e607 (このIDを非表示/違反報告)
鈴(プロフ) - すごく面白いです！！いつも楽しみにさせてもらってます。更新頑張ってください！応援してます！ (2018年5月9日 22時) (レス) id: 8f94786c83 (このIDを非表示/違反報告)
姫乃(プロフ) - ああ！！��(ﾟДﾟ)ありがとうございます！忘れていました！！！ (2018年4月15日 16時) (レス) id: 12f13cd074 (このIDを非表示/違反報告)
はら - オリジナルフラグ外して下さいねー (2018年4月15日 16時) (レス) id: c7490cab95 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：姫乃 | 作成日時：2018年4月15日 16時
