04 ページ4
「うー、さむ」
冷え込む夜にくしゃみをしながら家に帰る日々。
ったく、今日も飲み会に付き合わされた…………さすがに胃もたれがすごい。
家帰ってシャワー浴びたら死ぬように寝よう。そうしよう。
そう思いながら我が家のドアを開けた。
「あ、おかえり。腹減った」
ドアを閉める。
、
、
、
なんだ今の。おかしいぞ、一昨日鍵変えたばっかなんだけどな…………。
いや、きっと違う。不法侵入とかじゃないよ、妖精だ妖精。私純粋だから見えちゃったんだわ。
あれは妖精あれは妖精と、心の中で念仏を唱えながら再びドアを開く。
「ん?どした?」
ドアを閉める。
「なあ」
「ヒョッ」
「何してんだお前」
現実逃避をしたかったのに、わざわざ出迎えてきやがったこの男。佐野万次郎は私が小学生、奴が中学生の時になんか知らんけど仲良くなった。昔は喧嘩三昧、ゲーム三昧で良かったよ。
でも今となってどうだ。
家に帰れば何故かいる。
風呂から上がれば何故かドラマを見ている。
ベッドにはいれば何故か隣にいる。
れっきとした不法侵入者。しかも常連さんであった。
「……またピッキングしたろ」
「ちょっと今回難しかったね」
「いくら金かけてると思ってんだ」
「課金ゲームみたいだな」
「払えよ金」
何度も変える鍵の料金は膨大だ。そろそろ懐が危ない。
「結婚したら不自由させないのに」
「した時点で不自由だわアホ」
もう何をやっても駄目だと分かっている私はヤケクソだった。部屋に上がってビールを煽り飲む。胃もたれとか気にせん、記憶が消えれば明日生きれるから。
「なあ、腹減ったって」
「レンチンでもしてろ!!」
「えー、A作ってよ」
「あ?」
「食べたら出てくからさ」
「よし、任せろ」
早速取り掛かった久々の自炊。冷蔵庫にある物で簡単にオムライスを作ってやった。
「おらよ、んでさっさと帰れ」
「お、オムライスじゃん。旗あったら完璧だったけど美味そうだからいいや」
「はっ、舐めてもらっちゃ困るね」
オムライスの上に、くまさんの旗をさしてやる。オムライスは旗が無ければ始まらんだろう。子供のあのワクワクさ、無くしちゃ駄目だよ。
「マジか!Aはやっぱすげーな!」
「当たり前でしょーが」
目をキラキラさせながら私のオムライスを食べると、本当に颯爽と帰っていった。
「そろそろ引っ越すかな」
自分のノリが怖い。
続く (更新停止中) お気に入り登録で更新通知を受け取ろう
←03
154人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「東京リベンジャーズ」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:薄桃桜 | 作成日時:2021年8月3日 20時