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書類仕事 ページ5

いつの間にか鳥のさえずりが聞こえる。



『ん…』



机に突っ伏して寝ていたせいか身体が痛い。

窓から差し込む穏やかな日差しの中、Aは小さなあくびをして起きた。

その時、ズルッと何かが落ちる。

そこには昨夜隊長にかけたはずの毛布があった。

そういうところは気遣い出来るのに…と毛布をじっと見つめる。

執務部屋を見回すともうそこには隊長の姿はなかった。

少し乱れていた服装を整え隊長とは違いきっちりと服を着る。



コンコンッ



『どうぞ。』



私は入ってくるや否や目の下にクマの出来た代理団長と大量の書類を見てわお…と声を出さずにはいられなかった。



「A…昨夜の書類は全て完璧だった…どうかこれも手伝ってくれないだろうか…」

『やりますやります。あの、代理団長。せめて仮眠しましょう。ね?』

「ああ、すまない…Aばかり頼るのは申し訳な『そんな事は気にしなくて良いですから。どうかゆっくり休んでください。』



代理団長が謝り続けるのを阻止して私は仮眠室に向かうよう言い続けた。

そして今、自身の執務机にある大量の書類を目の前にしてよし、と気合いを入れ、椅子に腰かける。

執務部屋には時計の針の音と書き物の音がするのみ。

どれ程時間が経っただろうか。

彼の声が聞こえるまで気付かなかった。



「…ーい…おーい……おい、A!」

『っ!…隊長、朝の見回りお疲れ様です。』

「A、もう少し肩の力を抜いたらどうだ?いつか身体に異常をきたすぜ。」

『大丈夫です。西風騎士として自分の体調管理ぐらいは出来ます。』



Aの机には終わった書類の山でいっぱいであり、残り少ない書類を完成させるのみであった。

分かりやすく言うと、『仕事の出来る奴』である。



『では、交代ですね。昼の見回りに行ってきます。書類の残り、サボらずやってくださいよ?全く隊長はすぐ書類関連の業務から逃げようとしますから…』

「口煩いと嫌われるぜ?」

『…誰が好きでこんなに言ってると思ってるんですか。』



Aはじとりとガイアを見る。

ガイアは誰かさんに似ているなと思ってしまった。



『隊長、聞いてますか。』

「分かった分かったから。流石に俺もこれぐらいの書類どうって事ないぜ。…助かった。ありがとな。」



ぽん…とAの頭を撫でるとガイアは残りの書類に取り掛かる。

Aは都合の良い人だ、なんて思いながら執務部屋を出た。

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作者名:きの | 作成日時:2022年7月25日 0時

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