何が足りないのか:kwmr ページ42
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「ほら、来たぞ」
伊沢さんがそうつぶやいたのをきっかけに玄関のほうを見やると、まわりの人たちに挨拶をしながら歩く河村さん。
「ほんとだ、」
「行かなくていいの？」
「もちろんいきますよ」
「いやもちろんて、」
後ろで「こんなのにつきまとわれるあいつも大変だわ」と笑う伊沢さんをおいて、素早くロビーへとむかう。
「おはようございます河村さん」
「おはようAちゃん」
「今日も好きです」
「うん、ありがとう」
「また流してる」
「流してないよ、ありがとうって言ってるじゃない」
ずっと本気で言い続けているのに、のれんに腕押しというか、真剣に考えてくれない河村さんにそろそろ限界がきそうな今日この頃。
「ちゃんと恋愛対象として好きなんですよ」
「勘違いだよそれは」
「なんで河村さんが決めるんですか」
「だってそうでしょ」
「ちがいます」
「ほんとねぇ、年上をからかうのもいい加減にしないと駄目だよ？」
「からかってなんかいません、ずっと本気です」
「またそういうことを、」
どんなに伝えてもまったく取り合う気配をみせない河村さんにいらだって、うそだって言うなら今のうちだよ、と続ける唇を強引にふさいでみる。
レンズごしに目を見開いたままかたまっていた河村さんが動いたのは、唇を離してから数秒たったあとのことだった。
「ちょ、Aちゃん…！」
「これでわかってくれました？」
「いや、みんないるよ、」
「それだけ本気ってことです」
「そうはいっても、さ…」
これでもなお河村さんが煮え切らない態度なのが悔しくて、悲しくて、自然と涙があふれて止まらない。
「えっ、Aちゃん泣かないで、」
「河村さんのせいです、もう知りません！」
顔を背けて歩き出せば向こうから歩いてきた伊沢さんにちょ、なんで泣いてんの！と声をかけられたけれど、河村さん！とだけ答えてその横をすり抜ける。
Aちゃん！と呼ぶ河村さんの声は無視して、このあとどうするのか、ということすら考えられないまま、トイレでひたすら泣いていた。
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キタ(プロフ) - あんころさん» ありがとうございます！キャラが定まってない感じもありますが大丈夫でしたでしょうか…？どうしても不定期になってしまいますが、更新の予定はありますのでまたよろしくお願いします(*^^*) (2020年4月6日 1時) (
レス) id: 287acd08f7 (このIDを非表示/違反報告)
あんころ - kwmrさんだいすき人間なのですが、どれも好みどストライクでもう…！！！キタさんのペースで頑張ってください！応援しています！！ (2020年4月2日 2時) (レス) id: 4b7a069960 (このIDを非表示/違反報告)
キタ(プロフ) - ぽさん» お返事遅くなってしまってすみません！一作目からありがとうございます。更新も不定期ですが、なんとかご期待に応えられるように頑張りますので、今後もよろしくお願いします。 (2019年12月9日 21時) (レス) id: 287acd08f7 (このIDを非表示/違反報告)
ぽ(プロフ) - キタさんお久しぶりです＞＜「平凡、即ち人生」がドストライクすぎました、、！！キタさんの書く文章が大好きです:-)これからも応援しています。 (2019年12月5日 20時) (レス) id: 7700f16782 (このIDを非表示/違反報告)
キタ(プロフ) - ちるさん» コメントありがとうございます。沢山のお褒めの言葉をいただけてとても嬉しいです。マイペースにはなりますが、色々と更新していきたいと思います。今後もよろしくお願いします！ (2019年10月31日 23時) (レス) id: 287acd08f7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：キタ | 作成日時：2019年10月29日 14時
