雑多に言葉遊びしてこーぜ【QK】

↑誰でもない ページ2

「じゃあ、また明日」


『うん。』


そんなこんなで今日も終電に滑り込んだ。

伊沢は車窓の外でにこやかに手を振っている。



外はもう真っ暗だ。

街明かりだけがぼうっと照っている。


これで、964日。

毎日を無駄に生きている私の後悔の日数。



私は未だ。

自分を殺すことには至っていない。

その勇気は未だに湧いていない。



「もし死ぬのなら」私は電車に飛び込んで死にたいと思う。



毎日使うこのガラガラの終電間際に。



電車に揺られるこの間、私はいつも考える。



「才能」ってものがもし私にあったなら。

何か突飛な事を突然やったって、誰にだって許される気がしてるんだ。



だってサッカー選手も、あの歌手も、さっきの伊沢だって。

何をしたって褒めそやされる。


すごいすごい、って世界の中心に立っている。


自分が誰だかわかっている。

検索かけたらヒットするような奴ら。




でも私は、世界の真ん中で窪んでいる。


窪んだまま浮きもせず沈みもせずただ、浮遊している。





こんな事考えてたって。

笑われるかな。

お前みたいなちっぽけな奴がなんだって、言われるかな。


言われてしまえば、どうにもこうにも言い返せなんてしないんだけど。



こんな事思ったらもう、駄目なんだ。



だって、これは特別な人が言う言葉で。





目の前の車窓に映る自分も、

後ろの車窓に映る自分も、

全部同じ顔だから。



私はごく一般的な、どこにでもいる顔の仮面被ってんだ。






そこら辺の占い師が言ってた。


「あんたは人生向いていない」って。


そんな事自分が一番わかってんだよ。



周りと同じ顔重ねて、

染まって、ほとんど変わらない姿になるのが、



大人になるって事なのかなぁ…



だとしたら、周りと同じになりきれないのに、フラフラ浮いてる私が。

一番嫌いだ。




ねぇ、伊沢。

そのニコニコした顔のまま言ってよ。


私を突き放してよ。


電車が来るホームに突き落としてよ。


その時に小声で私に言って欲しいんだ。






「死んじまえ」って。




あぁ、狂ってるかな。

↑誰でもない→←誰でもない-曲パロ-【izwさん】

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す