夢十夜「一夜」【河村さん】 ページ23
こんな夢を見た。
永遠とも思える闇の中から、ボコっと手が伸びてきた。
指が長く、細く、真っ白な手。
あぁ、綺麗な手。
握ってみたいと自分の手を伸ばすと、さらに伸びてきた。
肘くらいまで伸びた手。
私は立ち上がり、その手を掴んだ。
指を絡ませると、向こうも握り返した。
冷たいと言われれば、冷たい。
温かいと言われたら、温かい。
そのくらいの手の温度だった。
腕を伸ばすのも辛くなってきたから、一気に引いてしまおうと思った。
自分の方に思い切り引くと、ズルズルっと這い出てきた。
腕が全部見えた。
さらに引くと、ふんわりした頭髪が。
もっと引くと、真っ白な服と身体が現れる。
力強く引き抜くと、手と同じように長く細い脚が出てきた。
誰だろうか。
見慣れない顔。
彫刻のような。
白磁に切れ込みを入れたように滑らかな肌と目鼻だち。
とても綺麗な男だった。
だが喋らない。
一言も言葉を発しない。
言語、というものをすっかり忘れてしまったようにボケッとしている。
『だれ。』
「君こそ。」
『どうして手を出したの？』
「どうして手を引いたの？」
埒が明かない。
すごく綺麗な男は、一言、「河村」と呟いた。
『それ貴方の名前？』
「じゃなかったらなんだと思う。」
河村は、ニヤリと微笑みかえした。
それもまた不思議と綺麗な顔だった。
「君はAでしょ。」
どうして知っているんだろう。
とは思ったけど、言わない事にした。
『貴方はどうして落ちてきたの。』
「君が引いたから。」
平然と言い切る。
『貴方はどこにいたの？』
「ずっと、そこにいた。」
ボーッと見つめる場所は相変わらず暗闇だ。
だが、河村と私だけがボワッとスポットライトを浴びたように明るい。
河村が突然立った。
『どこにいくの。』
「帰る。」
『もう帰るの。』
「またすぐ会うから。」
と言い残し、闇から上へ帰ったらしい。
はてさてここは何処なんだろう。
先程河村が帰ったとところを見る。
何もない。
ただ小さな光が一筋漏れている。
あちこち行ったり来たりしていると、上から声が降ってきた。
「そんなに探さなくても、すぐに会うから。」
『そうなの。』
「心配ならお守りあげるよ。」
光が漏れているところから眼鏡が落ちてきた。
黒縁の四角いメガネ。
また声が降ってきた。
「さぁ、起きて。」
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絹田きぬた(プロフ) - いろさん» よろしく…！私もきぬちゃん呼びは初めて！w (2020年8月17日 14時) (
レス) id: 6912973321 (このIDを非表示/違反報告)
いろ(プロフ) - 絹田きぬたさん» いーちゃん！！？初めて呼ばれます！！めちゃめちゃ嬉しいです…！！大歓迎です！！よろしくね…！！ (2020年8月17日 14時) (レス) id: 5fbef9d1c0 (このIDを非表示/違反報告)
絹田きぬた(プロフ) - いろさん» いえいえ！え！？わざわざ買ってくださったんですか！？それは…本当にありがとうございます！私、とても好きなお話なので嬉しいです！タメ！いいですね！私もいーちゃんとか呼んでもいいですか？ (2020年8月17日 14時) (レス) id: 6912973321 (このIDを非表示/違反報告)
いろ(プロフ) - 前の作品にごめんなさい！これだけ伝えたいことがありまして！！きぬたさんの夢十夜を理解するためだけに本を買いました()まだ読めてないのですが… あ、あと、もしきぬたさんが良ければ、タメとかどうでしょうか…(きぬちゃんと呼びたい欲を抑えきれず…) (2020年8月17日 13時) (レス) id: 5fbef9d1c0 (このIDを非表示/違反報告)
絹田きぬた(プロフ) - 葉月さん» そうですね、やっぱり締めはCEO！ありがとうございます…不安定な状態が続いてるので、ゆっくり頑張っていきますね！新作もよろしくお願いします！ (2020年6月20日 16時) (レス) id: 6912973321 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：絹田きぬた | 作者ホームページ：
作成日時：2020年5月15日 20時
