そのじゅうなな ページ18
映画が終わり、二人で近くの喫茶店に入った。
少し混み合っている店内のあちこちで、さっきの映画の感想が聞こえてくる。
猛君の言ってた、カップルに人気の映画というのはどうやら本当のようだ。
「…さっきの映画、どうだった?」
レモンスカッシュ、通称レスカをストローでくるくる回しながら猛君が控えめに聞いてきた。
「面白かったよ!最後、二人が結ばれなかったのは悲しかったけど…」
「…そっか」
わざわざチケットを用意してくれた猛君にすごくすごく申し訳ないのだけど…
実はあまり映画に集中できなかったていうのが本音。
猛君と二人きりで観たっていうのももちろん理由の一つだけど、
重ねてしまった。
私と、猛君を。
両親の反対を押し切って自分の好きな人と結婚した男の人
不治の病で惜しくも亡くなってしまった女の人
ここで感動して泣くのが一般的な反応なのだろう
でも私にはどうしても泣けなかった。
最初から二人は歓迎されていなかったように見えたからだ。
夢見がちだと言われても、私はやっぱりハッピーエンドが好きだ。
「猛君は、どうだった?」
「俺?俺は…純愛過ぎてなんかなあ…」
「ふふ、だよね。」
私はこんなラブストーリー好きじゃない。という本音を、少し冷めてしまった紅茶と共に流し込んだ。
◇
「帰り、夕陽でも見て帰るか?」
喫茶店を後にして、二人並んで駅に向かって歩く。
「川辺だと綺麗に見える」
「ほんと?行きたいな」
猛君から夕陽なんてロマンチックな言葉が聞けるなんて思ってもいなかった
きっと、聞いたのは私だけじゃない?
「明日からまた学校だね」
「そうだな」
「猛君は学校楽しい?」
「まあ俺はAと違って授業とか真面目に受けてねぇからな」
「だめだよ、たまにはちゃんと受けなきゃ」
なんて他愛もない会話をする。
この時は、これから起きる悲劇なんて、微塵も想像してなかった。
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麻衣(プロフ) - 伊藤落ちお願いします。 (2021年5月30日 14時) (レス) id: d944f1cd48 (このIDを非表示/違反報告)
こもれおLOVE - あと、椋木先生は3組の担任で、山口先生が5組の担任なんですよね。 (2020年8月14日 14時) (レス) id: 773f58e41c (このIDを非表示/違反報告)
こもれおLOVE - アンチじゃないんですけど、三橋と伊藤は3組です。5組の設定だったらごめんなさい (2020年8月14日 14時) (レス) id: 773f58e41c (このIDを非表示/違反報告)
ゆか(プロフ) - 合格おめでとうございます!!おかえりなさい! (2019年10月20日 23時) (レス) id: 71439fed4b (このIDを非表示/違反報告)
れおっち - 相良くん希望です 受験がんばってください! (2019年2月23日 20時) (レス) id: 5b344a34f1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:てあ。 | 作成日時:2018年11月11日 21時