錬成するものは ページ42
***
『ちょっと痛むけど、ごめんね』
エド「いでっ!」
その辺に落ちていた板でエドの折れた腕を挟み、布できっちりと縛る。
私は、エドにとりあえずの処置を施していた。
『応急処置だけど…』
エド「いや、だいぶ助かる」
そうは言うが、左手を握ると顔が険しくなるエド。
エンヴィー「この辺にあるのは全部あつめたよ」
エドは先程、この辺りに落ちている壁画の瓦礫を全て集めるよう、エンヴィーに命じていた。
そして集まった瓦礫。
よく見ると、錬成陣のようなものを描いている。
リン「これみんな、クセルクセス遺跡のものカ?」
エド「あぁ」
クセルクセス…、はるか昔に栄えたとされる国の名前だ。
一夜にして滅んだとされる国の遺物が、何故ここにあるのだろう?
リン「おいおい、何黙り込んでんだヨ」
エド「いや、この壁の全体像な、人体錬成の陣だ。それも、陣を形作る基礎が当たり前の人間を表している。」
『当たり前の人間…』
エド「そこでひらめいたんだけどよ
生きた人間を人体錬成し直すってのは、どうだ?」
水を水に錬成するように、生きた人間を人間に錬成する。
それは人体錬成にあたるので、扉が開く可能性は十分にあり、この空間が偽の真理の扉だと言うのなら、正しい扉を通れば出られるのでは無いか、という推論だった。
エド「オレが扉を開ける。そこにお前らは飛び込む。」
『それじゃあ失敗したら…』
エド「…術の失敗は行使した者に全て跳ね返る。この場合は、オレにな」
『……』
そんな事は錬金術師にとって当たり前の事だ。
もし失敗してしまったら、エドは、どうなると言うのか。
エドを失うなんてそんなの…。
エド「そんな顔すんな。大丈夫だ、きっと戻れる。」
『でも、』
エドの目は、やると決めたようだった。
この人は1度やると決めたら必ずやるし、止めることはできない。
『……わかったよ』
エドに伝えたい気持ちを全部飲み込んで、私は彼に同意した。
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あ - このお話大好きです!更新楽しみにしてます! (12月21日 2時) (レス) id: 320108a8ff (このIDを非表示/違反報告)
めりあ(プロフ) - 更新楽しみにしてます (9月25日 22時) (レス) @page28 id: 4dacbef9b9 (このIDを非表示/違反報告)
夜宵(プロフ) - なのはさん、miriさん、コメントありがとうございました。ほかの小説を書いていましたが、長らく留守にしていながらもお待ち頂いている気持ちに答えなきゃダメだと思い、やっと更新しました。また更新していこうとおもいますので、よろしくお願いします。 (8月6日 14時) (レス) id: 36d3a8f59a (このIDを非表示/違反報告)
miri - 初コメント失礼します!エドと夢主の関係性がハガレンの物語に凄く良い感じに溶け込んでいてめちゃめちゃ大好きな小説なので続きが気になりすぎて思わずコメントしてしまいました また更新楽しみにしています⭐︎夜宵さんのペースで頑張ってください! (5月21日 22時) (レス) @page41 id: ad2029d38e (このIDを非表示/違反報告)
なのは(プロフ) - 更新しないですか?楽しみです!(>_<) (2023年4月9日 2時) (レス) id: bac325c829 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:YayoiSakura | 作成日時:2022年7月12日 15時