ここは何処1 ページ38
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『う……』
いったい、どれくらい意識を手放していたのだろう。
私は両手をつくと、身体を起き上がらせた。
目を開くとそこは、どこまでも暗闇の広がる不気味な空間。
私は大きな何かの瓦礫の上に居るようだった。
黒い海の上にバラバラに散らばった木片に灯る炎が、唯一の明かりだ。
……そうだ、私はグラトニーに飲まれたんだ。
ということはここは、グラトニーのお腹の中ということになるのだろうか?
お腹の中というには、広すぎる。
そういえば、グラトニーに飲まれてしまう時のあの感覚……
私はどこかで体感した気がするのだけれど、いつだったのか、思い出せない。
考えていても仕方が無いので、私は出口を探すことにした。
おそるおそる足を下ろしてみると、赤黒い液体の下には、地面があるのがわかった。
『……これ、全部血なのかな…』
鉄のような匂いのする一面の液体は、たぶん血液のような気がする。
そう思うとより一層のこと、ここが気味悪く感じた。
早く脱出して、エドに会いたい……。
そう思いながら歩き出したが、このまま歩いていこうにも先はどこまでも暗闇。
なので私は今そこにあるものを使い、即席の松明を作ることにした。
手に持てば軽い木の枝に、燃えやすそうな古い布や、木のツルを、幾重にも巻き付ける。
途中で消えてしまうのも嫌なので、余分に布をかき集めポケットにぎゅうぎゅうに詰め込んでおいた。
そして出来上がった松明に炎を燃え移らせて、私は先に進むことにした。
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あ - このお話大好きです!更新楽しみにしてます! (12月21日 2時) (レス) id: 320108a8ff (このIDを非表示/違反報告)
めりあ(プロフ) - 更新楽しみにしてます (9月25日 22時) (レス) @page28 id: 4dacbef9b9 (このIDを非表示/違反報告)
夜宵(プロフ) - なのはさん、miriさん、コメントありがとうございました。ほかの小説を書いていましたが、長らく留守にしていながらもお待ち頂いている気持ちに答えなきゃダメだと思い、やっと更新しました。また更新していこうとおもいますので、よろしくお願いします。 (8月6日 14時) (レス) id: 36d3a8f59a (このIDを非表示/違反報告)
miri - 初コメント失礼します!エドと夢主の関係性がハガレンの物語に凄く良い感じに溶け込んでいてめちゃめちゃ大好きな小説なので続きが気になりすぎて思わずコメントしてしまいました また更新楽しみにしています⭐︎夜宵さんのペースで頑張ってください! (5月21日 22時) (レス) @page41 id: ad2029d38e (このIDを非表示/違反報告)
なのは(プロフ) - 更新しないですか?楽しみです!(>_<) (2023年4月9日 2時) (レス) id: bac325c829 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:YayoiSakura | 作成日時:2022年7月12日 15時