強くセコく ページ36
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リン「ぅぐ……なるほド、肉を斬らせて骨を断つ…カ…」
ギチギチとリンを締め上げるエンヴィー。
あと少し私が2人に近ければ、その腕を切り落としたのだが。
エンヴィー「おっと動くなよ。コイツが切り刻まれてもいいのかい?」
『……っ』
もう片方の腕を刃のようなものに変形させたエンヴィーは、私の方を見てそう脅しをかけてきた。
この間合いでは、私が動くより先に、リンの首がはねられてしまう。
エンヴィー「いいこだね。さぁて、絞め殺されたいか?噛み殺されたいか?それとも、切り刻まれたいか?」
リン「ぐ……」
リンを締め上げる腕を更に変形させ、リンを見下すように蛇を形作るエンヴィーには、余裕すら感じられる。
締め上げる力に耐えきれなくなったのか、リンは剣を地面に落としてしまった。
リン「そんじゃ…切り刻む方向デ……」
『ちょ……』
ざりっ
何をふざけたことを、と叫ぼうとしたよりも早く、リンが足で土を蹴りあげる音が聞こえた。
その土は正確に、エンヴィーの目を捉える。
私はすぐさま動き出し、リンを拘束している腕を槍でぶった斬ると、リンは落とした剣を握り、エンヴィーに一撃を食らわせた。
エンヴィー「や、ろう……目潰しなんてセコい手使いやがってェ…」
リン「家柄のせいで、小さい頃から暗殺の危険に晒され続けてるんでネ。強くセコくならざるを得なかったんだヨ」
リンの後ろで武器を構え直しながら、私はひとつの事を思い出す。
そういえばリンはシン国の王子様だったっけ。
リン「どうだイ。大人しく捕まってくれりゃ、危害は加えなイ。こっちは賢者の石の情報を持ち帰れればいいんダ。」
地面に屈んだエンヴィーは、ジロリとこちらを睨んだ。
エンヴィー「クソが……、ニンゲン風情が見下してんじゃねぇ!!」
リン「人間舐めるなヨ…ホムンクルス!!」
睨み合い牽制し合う両者。
ガサガサッッ
エド「おわあっ!!」
草の向こうから、グラトニーとエドがゴロゴロと転がってきた。
『うわわっ』
グラトニーに投げ飛ばされたエドが、私の方へと飛んできた。
私は思わずふらついてしまい、尻もちをつく。
ふと視線をあげると、トドメを刺そうとエンヴィーに跨り剣を構えたリン。
リン「…!」
びくりと身体がとまるリンの目の前には、ランファンに擬態したエンヴィー。
そしてリンを飲み込もうとグラトニーが身構えるのが見えた。
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あ - このお話大好きです!更新楽しみにしてます! (12月21日 2時) (レス) id: 320108a8ff (このIDを非表示/違反報告)
めりあ(プロフ) - 更新楽しみにしてます (9月25日 22時) (レス) @page28 id: 4dacbef9b9 (このIDを非表示/違反報告)
夜宵(プロフ) - なのはさん、miriさん、コメントありがとうございました。ほかの小説を書いていましたが、長らく留守にしていながらもお待ち頂いている気持ちに答えなきゃダメだと思い、やっと更新しました。また更新していこうとおもいますので、よろしくお願いします。 (8月6日 14時) (レス) id: 36d3a8f59a (このIDを非表示/違反報告)
miri - 初コメント失礼します!エドと夢主の関係性がハガレンの物語に凄く良い感じに溶け込んでいてめちゃめちゃ大好きな小説なので続きが気になりすぎて思わずコメントしてしまいました また更新楽しみにしています⭐︎夜宵さんのペースで頑張ってください! (5月21日 22時) (レス) @page41 id: ad2029d38e (このIDを非表示/違反報告)
なのは(プロフ) - 更新しないですか?楽しみです!(>_<) (2023年4月9日 2時) (レス) id: bac325c829 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:YayoiSakura | 作成日時:2022年7月12日 15時