ふわふわ ページ20
***
やばい、気まずい…
キッチンに入り、お湯を沸かし始めた私。
何も言わず、ソファーに座るエド。
お互いに両想いなのに、付き合うことはなく、今のままの関係をたもつという話なのだけど
お互い、好きだと言ってしまった今、昔のように振る舞えるわけもなかった。
緊張して、気まずい。
多分エドも同じ心境だと思う。
話す内容が見つからないし
変に話を振って、また黙ってしまうのも気まずい…
とにかく気まずい…気まずい…！！
お湯が沸いたと知らせる、ポットの汽笛が鳴り響く。
常備されているマグカップを棚から下ろし、コーヒーを用意しようとした時
コンコンと、ドアをノックする音が聞こえた。
『はーい』
きっとアルでも来たのだろうとドアを開けると、そこに立っていたのは
ウィンリィ「あ…、エドいるかな？」
『あ、ウィンリィ、エドなら…』
エド「どうした？」
『ぴぎゃッッ』
いきなり背後からエドの声がして、自分でもよく分からない声が出てしまった。
エド「なんだよ」
『エドが！急に来るから…！』
エド「はぁ？」
何言ってんだか…。と言葉を濁すエド。
さりげなく私の腰に添えられた彼の左手に、優しさを感じてしまう。
ウィンリィ「エド、私…ラッシュバレーに帰ることにした」
エド「そうか」
3人で何を話したのかは分からないけど、元気のないウィンリィと、どこか心配そうなエド。
好きだと言われても、この二人の間には、私は入れない気がする。
エド「…じゃあ、駅まで送るわ」
ウィンリィ「うん、ありがとう」
また私は、このホテルに1人取り残されてしまうのだろうか。
そんな考えが、私の脳内に霧をかけるように濁っていくのがわかる。
私は誰かとどうにかなるつもりは毛頭ないけれど
エドの方が、ウィンリィと一緒になっちゃいそうじゃない。
別に付き合ってないのだから、そうなってしまっても文句は言えない。
好きだと言われて、嬉しいはずなのに、私抜きで交わされる言葉たちに、泣きそうになる。
さっきまでは、天にも登る勢いで嬉しかったのに。
ふわふわとした関係に、こんなにすぐ不安になってしまうなんて。
『…私、ご飯買ってくるから。フロントの人に鍵渡しといて…！』
エド「あ、お、おいっ！A！」
零れそうになる涙を見せないよう、早口で告げると、私はその場から脱兎のごとく逃げ出すのだった。
***
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 421人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あ - このお話大好きです！更新楽しみにしてます！ (12月21日 2時) (
レス) id: 320108a8ff (このIDを非表示/違反報告)
めりあ(プロフ) - 更新楽しみにしてます (9月25日 22時) (レス) @page28 id: 4dacbef9b9 (このIDを非表示/違反報告)
夜宵(プロフ) - なのはさん、miriさん、コメントありがとうございました。ほかの小説を書いていましたが、長らく留守にしていながらもお待ち頂いている気持ちに答えなきゃダメだと思い、やっと更新しました。また更新していこうとおもいますので、よろしくお願いします。 (8月6日 14時) (レス) id: 36d3a8f59a (このIDを非表示/違反報告)
miri - 初コメント失礼します！エドと夢主の関係性がハガレンの物語に凄く良い感じに溶け込んでいてめちゃめちゃ大好きな小説なので続きが気になりすぎて思わずコメントしてしまいました また更新楽しみにしています⭐︎夜宵さんのペースで頑張ってください！ (5月21日 22時) (レス) @page41 id: ad2029d38e (このIDを非表示/違反報告)
なのは(プロフ) - 更新しないですか？楽しみです！(>_<) (2023年4月9日 2時) (レス) id: bac325c829 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：YayoiSakura | 作成日時：2022年7月12日 15時
