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「やれば出来るじゃないか、ゼン。」
「これを毎日やってくれたらいいのにね。」
『ここぞってときは出来るんだけどね。』
「…おいお前ら、少しは主を労る言葉はないのか?」
朝食後、ゼンは真っ直ぐ執務室へと向かい、休憩を挟むことなくひたすらに執務をこなした。
あれだけ積み重なっていた紙の山がみるみるうちに無くなっていき、私も久しぶりに執務に携われたことでとても充実することができた。
「ごめんごめん、よく頑張りました。」
「あのなあミツヒデ…!!!」
ゼンとミツヒデの言い合いが始まったのを横に、私と木々は用済みの書類を纏める。あとはこれを提出するだけでいいのだが、それは木々がやってくれるそうで。
「それじゃあ、詩人の門の前で落ちあおう」
『ありがとう、木々』
木々が書類を持って部屋を出て行ったのを見送って、私は未だ言い合っている子供2人に向き合った。
『ゼン、ミツヒデ、そこまでにして』
「俺もか!?」
『当たり前でしょ?大体、なんでミツヒデまで熱入ってるのよ』
「だって!いくら言ったってゼンが分かってくれなくてだな…!」
『恋する乙女か』
「乙女っ…ふははっ!ミツヒデが乙女か!それはまた傑作だっ!」
『はぁ…ゼン』
「………」
全く…
ここ数日、これを収めていたのが木々1人だったと考えると、なんだかとても思いやられるな…。
ゼンとミツヒデはかれこれ6年の仲だ。私も年が明ければ、そのくらいの年月をゼンと共に過ごしていることになるが…
何故こうも2人はお互いによく突っかかりあうのか。…私には到底理解できないことだろう。
「よし、じゃあ木々が帰ってきたらいくか!」
『…切り替えの早さだけは本当に』
「なんだ?A」
『…なんでもないですよ。木々とは詩人の門で集合になってるから、もう行こう』
「窓から飛び降りるのはなしだからな、ゼン」
「ふははっわかってるよ」
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作者名:汐崎 | 作成日時:2023年1月14日 16時