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「あ!いたいた!白雪ー!Aー!」
「ミツヒデさん!?」
ちょうど中庭へと差し掛かったとき。白雪と話していると、後ろからミツヒデが駆けつけてきた。
勝手に白雪を連れてきてしまったけれど、白雪の話から推測するに、本来はミツヒデが迎える手筈だったはずだ。
『ごめんミツヒデ、私が連れていくって言ったの』
「ああ、構わないさ。俺も来るのが遅れてしまって…すまない白雪」
「いえ!私は全然!」
首と手を横に振る白雪。
そのとき。
ふと、ミツヒデの奥を歩いていたハルカ侯爵と目が合った。
眉間に皺を寄せ、難しい表情をしている。すぐに視線は逸らされたが、少し嫌な予感がした。
『じゃあミツヒデ、後はまかせるよ』
「どこかいくのか?」
『ちょっとね。また会おう、白雪』
「はい!」
さようならと言って手を振る白雪に、私も手を振り返す。
ゼンのことは白雪に任そう。
私が振り返ると、そこには既にハルカ侯爵の姿はなかった。嫌な予感と言っても、これといってあてがあるわけではない。
しかし、あの侯爵の性格だ。
立場や階級を重んる考えを持っている方だから、きっとゼンと白雪の関係をあまり良く思っていないのだろう。
かといって、本人に話を持ちかけるのもよくない。
…難しい相手だ。
『…はぁ、どうするかなあ』
「悩み事?」
そのとき。
突然、後ろからかけられた声に、私は大袈裟に肩を揺らした。
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作者名:汐崎 | 作成日時:2023年1月14日 16時