三十四話 ページ36
.
...それから、どれくらい時間が経っただろうか。
私の体に切り傷が五個できているのに対し、長にはまだ二つほどしか傷をつけることができていない。
”私より長の方が強い“
それを強く実感しとても悔しくなる。
「...君は、恐らく才能があるんだろうね。他の者からしたら妬ましいことだが」
その言葉を聞いて、胸がドクンとなる。
「...才能って、なんの？」
ドクドク、ドクドクと心臓の鼓動は早くなるばかりだ。
「人を殺す才能だよ」
「＿＿＿＿＿＿＿」
そう言われた言葉に、すぐ否定の答えを返すことができなかった。
「君はここに来てから二年半だけしか過ごしていない。だが、同じ年月を過ごした仲間はどうなった？ほとんど死んでしまっただろう？
君と違い才能がなかったんだろうね」
「黙れ...！！」
私は思いっきり剣を長に突き刺そうとする。
...が、長にすぐ防がれてしまう。
だが私は諦めずに何回も何十回も剣を振る。筋肉が千切れそうだと悲鳴をあげ、痛みを感じていると訴えてくるがそれも無視してひたすら長の命をとるために動いた。
すると、そのかいあってか長の上をとることができた。
私はすかさず剣を首に当てると、長は降参だとでも言うように両手をあげる。
「はぁ...まさか、この私がまだ子供の女の子に負けてしまうなんてね」
「その最高の屈辱を感じながら後悔して死ね」
「ははっ、それは面白い考えだ」
と、長が言い終わると同時に、私は首ではなく肺の部分に剣を刺した。
どうして首に刺さなかったのか分からないが、痛みを感じなが
ら死ぬのもいいだろうと思い私は長の体からどく。
どうせ致命傷なので動けはしない。
「ははっ、はははっ！...最高だよ。君みたいな子初めてだ」
何故か長は涙を流しながら笑っている。
「だろうね。ここまで残酷なことをする七歳児は恐らく私だけだろう」
自分でもおかしいとは分かっている。そして、もう戻ることはできないということも分かっている。
もしこのまま大人になれたとしても、きっと私の異常性は変わらないのだろう。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 45人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
桜 - ユカさん» 長との戦い...ドキドキの展開（？）ですね。はたして、結果はどうなるのか...まあ、ネタバレは面白くないので続きをどうぞ！！ (2020年9月20日 10時) (
レス) id: ced64b0a1f (このIDを非表示/違反報告)
ユカ(プロフ) - 桜さん» 続き読みました！長との戦いがどうなるか、楽しみですo(^-^)o (2020年9月19日 21時) (レス) id: 3871a6219e (このIDを非表示/違反報告)
桜 - ユカさん» コメントありがとうございます！！テスト期間が終わったのでこれから更新しますね！！ (2020年9月18日 21時) (レス) id: ced64b0a1f (このIDを非表示/違反報告)
ユカ(プロフ) - すごい素敵なお話でした！！語彙力が無さすぎてこれ以上何も言えないのですが、続きが更新されるのを楽しみに待ってます！ (2020年9月14日 23時) (レス) id: 3871a6219e (このIDを非表示/違反報告)
桜 - 紀瑠 藍登さん» 本当ですか！？ありがとうございます！面白いと思っていただけたなら幸いです！こちらこそイベントに参加させてもらえてありがたいです！他にも作品ができたらイベントに参加させてもらいたいです。 (2020年8月25日 20時) (レス) id: ced64b0a1f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：桜 | 作成日時：2020年8月14日 21時
