三十話 ページ31
.
私がゆうたのいた場所に戻ると、ゆうたは個性を使って戦っていた。
ゆうたの個性は狼。狼っぽいことなら狼以上にできるらしい。
だから、体の一部を狼のようにしたり、全身狼にしたりもできる。
ゆうたは強個性を持っているけれど、使うことは滅多にない。
でも、ゆうたは今その滅多にない状況になっていた。
しかも所々傷ができている。ゆうたがそんな風になるところなんて見たことがなかった。
だから目の前にいるあいつらはそれほどにまで強いということが分かった。
だから私は、そいつらの気を少しでも引いてゆうたが攻撃しやすいようにした。
石を投げたり、近くを走り回ったり。土地勘ならこちらの方に分がある。
でも、やはり大人の方が体が大きいのでしばらくすると捕まってしまった。
「離して！！」
と、私は猛烈に反抗したが、それも意味はなく連れ去らそうになった。
「A！！」
ゆうたはあいつらの攻撃を避けながら私に近づき、手を引っ張って助けようとしてくれた。
ゆうたが助けに来てくれたからもう大丈夫。
そう思ったとき、ドン！と鈍い音がなるとゆうたの頭から大量の血が流れ出てきた。
「...え...？」
目の前で起きている出来事がスローモーションのように見えた。
ゆうたが頭から血を流して、地面に倒れている。
それが私には信じられなかった。
「ゆ、ゆうた...ゆうた！！ゆうたッ！」
私は暴れながらゆうたの元に行こうとするが、びくともしない。
「バカッ！！お前何してんだよ！ガキは殺さず連れ帰れって命令だったろうが！！」
あいつらは焦ったように言う。
「だってこいつがあまりにも抵抗してくるから...つい...」
「お前長に殺されちまうぞ！どうすんだよ！」
「...このガキはいなかった。いたのはこいつ一人。戦えそうなやつはいなかった。生憎、こいちは女だ。そこらの人身売買にでも売り込めば高値で売れるさ」
「そうだな...」
男達の内一人が私を連れていき、他のやつらがゆうたを土の中に埋めて証拠隠滅しようとしていく。
待って。やめてよ。ゆうたはまだ生きてるんだよ？まだ瞼がピクピク動いてる。生き埋めにするの？
やめて、やめて、やめて...！！
「やめて！ゆうたを殺さないで！離してよ！」
「やめろ！暴れんな！あいつはもう助からねぇんだよ！」
私は男に俵のように担がれ、暴れても離れられないようにされた。
「やだ、やだやだやだ！ゆうたぁ！」
そんな私の泣き声は、もうゆうたに聞こえてはいなかった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 45人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
桜 - ユカさん» 長との戦い...ドキドキの展開（？）ですね。はたして、結果はどうなるのか...まあ、ネタバレは面白くないので続きをどうぞ！！ (2020年9月20日 10時) (
レス) id: ced64b0a1f (このIDを非表示/違反報告)
ユカ(プロフ) - 桜さん» 続き読みました！長との戦いがどうなるか、楽しみですo(^-^)o (2020年9月19日 21時) (レス) id: 3871a6219e (このIDを非表示/違反報告)
桜 - ユカさん» コメントありがとうございます！！テスト期間が終わったのでこれから更新しますね！！ (2020年9月18日 21時) (レス) id: ced64b0a1f (このIDを非表示/違反報告)
ユカ(プロフ) - すごい素敵なお話でした！！語彙力が無さすぎてこれ以上何も言えないのですが、続きが更新されるのを楽しみに待ってます！ (2020年9月14日 23時) (レス) id: 3871a6219e (このIDを非表示/違反報告)
桜 - 紀瑠 藍登さん» 本当ですか！？ありがとうございます！面白いと思っていただけたなら幸いです！こちらこそイベントに参加させてもらえてありがたいです！他にも作品ができたらイベントに参加させてもらいたいです。 (2020年8月25日 20時) (レス) id: ced64b0a1f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：桜 | 作成日時：2020年8月14日 21時
